2021.12.15. JFMA賞事務局

第16回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞) 入賞発表

※パネル資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。


(敬称略)
表彰 応募タイトル 選考対象
FM実践組織・個人
サービス提供者
優秀FM賞 【最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)】
板橋区における公共施設マネジメントの
取り組みについて
東京都 板橋区  
築60年のビンテージビルに
新しいオフィスのスタンダードを創る
株式会社 リクルート (株)コスモスモア
(有)スキーマ建築計画
(株)フロンティアコンサルティング
ニューノーマルにおける
BorderlessOfficeの推進
富士通 株式会社  
竹中工務店本社ファシリティ再整備
〜新たな価値創造を目指して〜
株式会社 竹中工務店  


築90年の近三ビルにおけるFMの取り組み
〜省エネと快適性
近三商事 株式会社 (株)竹中工務店
三機工業(株)
(株)吉成電気工業所
(株)ジャパンテクニカルソフトウェア
(株)ヴェリア・ラボラトリーズ
(株)ヴォンエルフ


My City Report
My City Report
コンソーシアム
 


遊休公共不動産の情報プラットフォーム
−公共不動産データベース
株式会社 オープン・エー
(公共R不動産)
 


テラス沼田から繰り広げる公共FMの実践
群馬県沼田市 日本管財(株)
クロスポイント・コンサルティング(株)
ダイヤゲート池袋におけるBIM活用の
設備機器管理支援ツール開発
株式会社 日建設計  


■優秀ファシリティマネジメント賞 受賞は、4件である。

最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞): 東京都 板橋区
( 板橋区における公共施設マネジメントの取り組みについて )

01優秀FM賞(鵜澤賞)

 東京都板橋区の 10 年間にわたる公共 FM 取り組みに関する応募。板橋区の人口は約 57 万人、公共施設は 428 施設、約 87.3 万uに及ぶ( 1.55 u/人)。 2011 年から公共FMに取り組み、施設白書での現況把握から出発し、方向性を定めたマスタープラン、個別整備計画を策定し実行するなど継続的に取り組まれている。全庁横断的な権限が容易に獲得しにくい公共経営の枠組みのなかで、保全規程と維持改修経費の優先順位作成や、プロジェクト計画段階での事前調整の仕組みをつくり、政策経営部での統括的なマネジメントが機能している。公共施設 等総合管理計画と個別計画に相当する「公共施設等ベースプラン」を定期的に改訂し、 PDCA サイクルを回している。また、情報発信や庁内 FM 研修、 23 区の FM ネットワークづくりでも積極的に活動を続けている。トップダウンとボトムアップの両面の良さが出ている見事な FM 実践例である。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 株式会社 リクルート
( 築60年のビンテージビルに新しいオフィスのスタンダードを創る )

02優秀FM賞

 過去2回奨励賞を受賞している同社の3回目の応募である。全社再編の途上にあり、その先行部分についての活動といえる。既存の本社オフィス付近に分散する7拠点を九段坂上KSビル(中層の5棟構成)に集約した。面積的にはほぼ同じで、年間賃料を約60%削減し、改修投資活動の原資としている。専用部分と共用部の面積比は50対50とし、共用部を拡大して入居部門以外のユーザーでも使えるようにしている。将来の働き方策定から現在の施策を計画するオフィスづくりをめざし、@ウエルビーイング、Aチーム中心のABW、B安全なタッチレス環境、C地域社会、地球環境との共生の4つを柱としている。2021年3月入居で活動期間は短いが、全社的にテレワークを基本と位置づけ、セントラルオフィスはHUB機能に集約する同社の新しい働き方を実現するキーとなるワークプレイスと位置づけて働き方改革を進めている。築60年のビル改修に際しては、二重床とせずフラットケーブルを活用、コンセント新設に代えて長時間駆動可能な携帯型バッテリーを多用、エレベータやドアのタッチレス化など、さまざまな工夫がある。継続的に社内でFMを発展させた完成度の高いプロジェクトの実践例である。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 富士通 株式会社
( ニューノーマルにおける BorderlessOffice の推進 )

03優秀FM賞

 2020年7月に「ニューノーマルにおける新たな働き方への変革=Work Life Shift」を発表した同社の改革を推進する3施策の1つBorderless Office(BO)の展開と活用に関する応募。昨年7月以来きわめて短期間に整備した。BOの要素は@HUB、ASATELLITE、BHome & Sharedから成る。約1年間で@は40,000坪新設。Aは全国22拠点に展開、Bのシェアードは全国1,300拠点を超える契約が完了して稼働中という迅速さである。働き方はテレワークを基本とし、HUBはコミュニケーションに特化した構成である。テレワークの進展により30時間/月・人の通勤時間減少があり、睡眠時間の増加などウェルネスへの効果もみられるが、残業時間の削減など課題も残されている。川崎の新オフィスは、フロアごとに異なる特性をもたせ、ABWのニーズに対応できる多様なセッティングが用意されている。同社の実証実験・ショーケースに位置づけられ、DX化とデジタルツールによりオフィス内の利用状況の可視化、コミュニケーションロス減少、調査・評価・改善などに活用されている。これらの改修投資は、賃借コスト30%削減、動力・清掃費50%削減などによる原資によりまかなわれている。面積の削減に注目が集まっているが総合的なFMの取り組みに注目したい。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 株式会社 竹中工務店
( 竹中工務店本社ファシリティ再整備 〜新たな価値創造を目指して〜 )

04優秀FM賞

 同社における2025年のグループ成長戦略を受けた「従業員の成長を促進し、いきいきと働くことのできる環境づくりとワークライフバランスの向上」を支援するファシリティの再整備に関する応募。同社は東京本店のオフィス新築と5年間の運営活動で優秀FM賞を受賞している(2010年)が、今回の応募は東京を含む全国の拠点(12拠点+70外勤/小規模拠点)を対象とし、全社の働き方改革を支援するものへと発展している。2014年から2021年まで継続中の活動で、改革後の運営維持段階まで「チューニングチーム」がユーザーのヒアリングなどを行い、改善を継続的なものとしている。ブリーフィングが重視され、建築計画の前段階でのユーザーの声を反映した要求条件の作成が徹底され、竣工後の使用段階でのチューニング活動へと受け継がれるPDCAサイクルが回っている。予算と権限をもつFM専任組織があり継続的なPDCAサイクルが担保される体制が望ましいが、ユーザー代表を含むチューニングチームが運営維持段階での改善を担っている。FMサービス提供者が自らのオフィスにFMを実践した好例。
 

特別賞: 近三商事 株式会社
( 築90年の近三ビルにおけるFMの取り組み 〜省エネと快適性 )

05特別賞

 1931年竣工のオフィスビルにおける継続的なFMへの取り組みの応募。ビルオーナー(三代継続)自らがリーダーシップをとり、ビルの性能や価値の向上に継続的に取り組んでいる。同ビルのFMは@自前の管理で創意工夫Aテナントにとって居心地のよいビルになるB環境に優しいビルになるC省エネビルになるD情報発信、の5つに整理されている。LEEDのGoldやBOMA360認証取得をはじめ、ビル価値の向上に継続的に取り組み、電気使用料40%削減、光熱費23%削減と同時に売上高20%増という優れた成果を達成している。90年間という長期にわたり、メンテナンスを続け、時代に即した改修を数次継続していることは、「古いものを大切に、長く賢く使う」というSDGs時代のメッセージでもある。ビルの原設計者は村野藤吾で、建築界では森五ビルとして知られている。100年を視野に入れる長寿命化達成は、原設計の質の高さに加えて、ビルオーナーの建物に対する愛情の賜物といえる。中小規模ビルにおけるFMの手本といえる活動は、特別賞にふさわしい。
 

■技術賞 受賞は、1件である。

技術賞: My City Report コンソーシアム 
( My City Report )

06技術賞

 道路・公園など社会基盤施設のメンテナンスにつなげる点検情報のプラットフォーム構築に関する応募。@市民協働投稿サービス:市民がスマホを使い送信する要メンテナンス箇所の情報を、自治体が活用する。LINEでの投稿機能を備える、A道路損傷検出サービス:公用車に搭載するスマホにより、AIが路面の損傷を検出できるアプリを活用する。各自治体のメンテナンス活動につなげる情報プラットフォームの開発と運用では、神奈川県、和歌山県、尼崎市、加賀市、高松市など14自治体が同コンソーシアムに参加している。作業時間の削減による効率化も本技術の効果が確認されている。「ちばレポ」から発展し、新しいシステムとしてMy City Reportとなり、全国自治体へのさらなる普及が期待される。
 

■功績賞 受賞は、1件である。

功績賞: 株式会社 オープン・エー (公共R不動産)
( 遊休公共不動産の情報プラットフォーム −公共不動産データベース )

07功績賞

 地方自治体による公共不動産の情報発信、公共不動産を活用したい民間事業者の物件検索、活用に向けた官民のコミュニケーション等を支援する情報プラットフォームを構築して運用し、公共不動産活用に貢献している同社の活動に関する応募。自治体会員は自ら情報発信が可能で、見やすいフォーマットができていること、アクセス状況から市場動向を把握することなどのメリットがある。一方、民間会員は、検索性が高いシステムであること、民間事業者の必要な情報を掲載するフォーマットであること、自治体への問い合わせが容易であることなどのメリットがある。現在では自治体会員数は220、民間会員数は870を数え、その活用が広がり、実際の公共不動産活用につなげた実績も増加している。また、この情報プラットフォームを介して、よろず相談、活用の研修、オンラインニーズ調査など、オプションの有料サービスも広げている。東京R不動産からのマッチングのしくみが見事に展開されている。
 

■奨励賞 受賞は、2件である。

奨励賞: 群馬県 沼田市
( テラス沼田から繰り広げる公共FMの実践 )

08奨励賞

 人口46,000人と小規模の地方自治体である群馬県沼田市のFM活動に関する応募である。応募タイトルの「テラス沼田」は市役所本庁舎の名称で、新築建替えではなく、空き商業施設の大規模改修が採用された。同市全体の公共FMは、2014年のFM推進会議発足以来、総務省の公共施設等総合管理計画、同個別計画策定の要請に連係して進められている、「テラス沼田」では、市街地の活性化、ハローワークの入居など施設の有効活用、減築による適正規模化などが図られている。また、同市のFM活動は、市有123施設の包括管理委託、公有財産売却、電気量の大幅な削減、職員のFM研修など、他の自治体FM事例を学びながら、継続的に展開されている。FM活動で組織に横ぐしをさしたり、まちづくりへの展開も望ましい。

奨励賞: 株式会社 日建設計
( ダイヤゲート池袋におけるBIM活用の設備機器管理支援ツール開発 )

09奨励賞

 建物の設計段階と工事段階ではBIMの活用が進んでいる。本応募は、竣工後の運営維持の段階で、設備機器管理の支援ツールとBIMを組み合わせることで活用を広げようというシステムである。@機器を探す、A系統の確認、B影響範囲の確認、C報告書の作成の4機能に特化して活用できるツールとしている。現場のITリテラシーを考慮してExcelを現場での入出力ツールとする。BIMにより設計・施工された実際の建物で設備管理に活用されているが、同システムの他の建物での利用は1例しかなく、また、ユーザー向けのFMシステムとしての今後の発展・普及にも期待したい。

2021年12月15日 審査委員会 委員長 北川 正恭

 

(参 考)

1.日本ファシリティマネジメント大賞の概要

JFMA賞

1)目 的:
FMに関する優れた業績等を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資することを目的とする。

2)表彰の種類:
(1)優秀ファシリティマネジメント賞
 (FMの手法を取入れ優れた成果を上げている活動)
 このうち特に優れた活動を「最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)」とする
 該当なしの場合もある【公募】
(2)技術賞(FMに関する、新しい手法・技術の取組み)【公募】
(3)功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他の活動)【公募】

※以上の応募の中から、特別賞、奨励賞の表彰を行う場合があります
(4)特別賞
 (FMに関する優れた成果をあげ、特別に表彰すべきと認められる活動等)
(5)奨励賞
 (優秀ファシリティマネジメント賞、技術賞または功績賞に準じ、今後の発展が期待される活動等)

3)エントリー期間 : 2021年7月1日〜7月31日
4)応 募 期間 :  2021年7月1日〜8月31日

5)審査委員会委員(委員以下五十音順、敬称略):

委 員 長 北川 正恭 (早稲田大学 名誉教授)
副委員長 深尾 精一 (東京都立大学 名誉教授)
  安達 功 (株式会社日経BP 総合研究所 フェロー)
  鎌田 元康 (東京大学 名誉教授)
  斎藤 秀幸 (経済産業省 製造産業局 生活製品課 企画官)
  島田 由香 (ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社 人事総務本部長)
  下野 浩史 (国土交通省大臣官房 官庁営繕部長)
  長澤 泰 (東京大学・工学院大学 名誉教授)
  村田 博文 (株式会社財界研究所 代表取締役)
  米倉 誠一郎 (法政大学大学院 教授・一橋大学 名誉教授)
  成田 一郎 (公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会 専務理事)
尚、審査委員会の下にFMの実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。

2.応募状況と選考経緯
1)応募状況: 優秀ファシリティマネジメント賞16件、技術賞3件、功績賞1件  計20件

2)選考経緯:
 各専門委員が応募書類を精査し、各応募案件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀ファシリティマネジメント賞については10件、技術賞については3件、功績賞については1件を現地審査・ヒアリング審査対象に選定した。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選定することを決めた。
 現地審査 ・ヒアリング 審査 の結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会 にて 報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果を JFMA山田会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定した。
 優秀ファシリティマネジメント 賞 応募16件のうち4件が 優秀ファシリティマネジメント賞受賞、その中の「 東京都板橋区 」は最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)に選ばれた。また、1件は特別賞、1件は奨励賞受賞となった。
 技術賞応募3件のうち1件が技術賞、1件が奨励賞となった。
 功績賞応募1件が功績賞受賞となった 。
 
 2021年12月15日、JFMA会議室において入賞者発表会を開催。


山田会長 挨拶

北川委員長 結果発表
報道発表の様子 (2021年12月15日(水)13:30〜 JFMAにて実施) 
 

 

3.事例発表 のお知らせ
第16回日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメント フォーラム2022)【Web配信】
 【JFMA賞受賞者による受賞講演( オンデマンド配信 )】
  配信日時:2022年2月21日(木)10:00 〜 3月7日(月)正午 
 




(参考)過去の受賞者

昨年までに行われた日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、以下をご参照ください。
JFMA賞 受賞一覧 (第1回〜第15回)(920KB)
 

第15回JFMA賞受賞集
第15回 JFMA賞 受賞集
(2021年)
第14回JFMA賞受賞集
第14回 JFMA賞 受賞集
(2020年)
第13回JFMA賞受賞集
第13回 JFMA賞 受賞集
(2019年)
第12回JFMA賞受賞集
第12回 JFMA賞 受賞集
(2018年)
第11回JFMA賞受賞集
第11回 JFMA賞 受賞集
(2017年)
第10回JFMA賞受賞集
第10回 JFMA賞 受賞集
(2016年)
   

JFMA賞 受賞集 Vol.7 (第1回〜第11回)(約8MB)
 
第15回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第14回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第13回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第12回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第11回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第10回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 9回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 8回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 7回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 6回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 5回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 4回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 3回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 2回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 1回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)

 

お問い合せ

JFMA賞に関するお問い合わせは、下記までお願いします。

JFMA賞 事務局 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)
   担 当  白須
 〒103-0007東京都中央区日本橋浜町2−13−6 浜町ビル6F
 TEL:03−6912−1177
 E-mail: award@jfma.or.jp