今回の優秀FM賞受賞は、次の3件である。その中の最優秀賞(鵜澤賞)は、時代の変化に適切に対応し「家庭的な温もりの中で最高の医療」を実現し収入面でも成果を挙げている倉敷中央病院。ほかの2件は、稼働率が20〜30%だったホテルをユニバーサルデザインの切口で見事に再生したオキナワマリオットリゾート&スパと、環境負荷低減などと働き方も一部変革した竹中工務店東京本店。
計画・建設・運営・解体後の利用まで3R (Reduce, Reuse, Recycle) を徹底して今後の方向を示し多くの来場者を得て成功した2005年愛知万博は、戦略的FM事例として今回初の特別賞受賞となった。
技術賞は建築の新しい再生手法リファイン建築が、功績賞は障害者雇用拡大に向けた既存オフィス改修FMの論文がそれぞれ受賞した。その他に、奨励賞受賞が7件である。
審査委員長 沖塩莊一郎
1.JFMA賞の概要
目 的: FMに関する優れた業績及び功績のあった組織と個人を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資する。
(1)表彰の種類
日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
@優秀ファシリティマネジメント賞(FM手法を取り入れ、優れた成果を上げている活動)(公募)
A特別賞
(FMの特定分野において優れた成果を上げ、特別に表彰すべきと認められる取組み)
B技術賞(FMに関する新しい手法・技術の取り組み)(公募)
C功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他)(公募)
D奨励賞 (非公募)
(2)第4回JFMA賞募集期間
2009年7月10日〜9月10日
(3)第4回JFMA賞審査委員会委員(委員長以下五十音順、敬称略)
沖塩 莊一郎 (委員長、東京理科大学名誉教授)
石福 昭 (社団法人建築設備綜合協会名誉会長)
北川 正恭 (早稲田大学大学院教授)
高辻 育史 (経済産業省製造産業局日用品室長)
土屋 博 (JFMA専務理事)
平島 寛 (日経BP社建設局長)
藤田 伊織 (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)
村田 博文 (株式会社財界研究所代表取締役)
柳澤 忠 (名古屋大学名誉教授)
米倉 誠一郎 (一橋大学大学院教授)
尚、審査委員会の下にFM実践の実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。
2.第4回JFMA賞応募状況と選考経緯
応募状況: 優秀FM賞11件、技術賞3件、功績賞2件
選考経緯: 各専門委員が応募書類を精査し、各応募物件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀FM賞については9件、技術賞については3件を現地審査対象に選んだ。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選ぶことも決めた。
現地審査とプレゼンテーションの結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会で報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果をJFMA鵜澤会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定し、1月18日JFMA会議室において入賞者発表会を開催した。
鵜澤会長 あいさつ |
沖塩委員長 結果発表 |
報道発表の様子(2010年1月18日(月)13:30〜 JFMAにて実施) |
3.審査に当たって特に印象に残ったこと
最優秀賞(鵜澤賞)を受賞した倉敷中央病院は、経営者・医療者・設計者が三位一体となり、変化に適切に対応し、「家庭的な温もりのなかで最高の医療」を実現、収入面でも成果を挙げており、病院FMの模範事例として高く評価された。高機能病院化、平均在院日数短縮、医師・看護師らの増加、光熱費抑制、新旧の施設差をなくすシームレス化などの徹底、ベンチマーク手法活用やPDCAを回してのFMの実践により、医療の質とサービスを充実させた上、高い収益と安定した剰余に基づく近代化と将来計画を可能としていることは、見事である。
優秀FM賞受賞のオキナワマリオットリゾート&スパは、建設時から高水準のユニバーサルルームが設備されていたが活かされず、ホテルの稼働率は20-30%と低迷していた。経営資本移転後、ハード・ソフト両面のFM手法導入により、ユニバーサルデザインの切り口で僅かの費用の施設改善により稼働率を年平均70%と飛躍的に向上させていることは見事だった。
優秀FM賞受賞の竹中工務店東京本店は、高効率・高品質なワークプレイス構築、環境負荷低減、ローコスト追及を高レベルで実現して2004年竣工の本店における、FM実証実験の場としての5年間の活動実績が評価された。
2005年愛知万博は、計画・建設・運営・解体後の利用まで3R (Reduce, Reuse, Recycle) を徹底し、環境を大きく変えずにコンパクトな会場を設営・運営し、2,500万人の来場者を得て成功させたことが、戦略的FM事例として高く評価され、今回初の特別賞受賞となった。この事例を、英文にして世界にPRすべき、との意見も出された。
技術賞受賞のリファイン建築は、従来の改修計画とは異なり、既存または被災建物の耐震や設備などの性能を新築レベルに高めて建築の長寿命化を図る再生手法で、FM実践上の新しい技術として評価された。
功績賞受賞の児玉達朗氏の論文は、障害者雇用拡大に向けたユニバーサルデザイン導入の費用対効果を、納付金や助成金を考慮して具体事例で検討、オフィス改修の事業性を示していることが評価された。
受賞者による事例発表とJFMA賞授賞式は、2010年2月9日(火)に日本ファシリティマネジメント大会(JFMA FORUM2010)にて行いました。
※パネル資料、講演資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。
※パネル資料、講演資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。
募集要項 [doc]
昨年までに行われたファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、
以下をご参照ください。
・第1回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第2回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第3回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)