優秀FM賞 受賞は、今回3件である。
最優秀賞(鵜澤賞)は、
(株)シグマクシスで、その「知識社会における価値創造環境実現のための戦略的FMの実践」が対象。経営コンサルティング企業であり、企業の経営資源である人材・ICT・ワークプレイスが一体となり、ワークスタイルとワークプレイス、更に人材評価システム、価値創造の仕組みが用意され、当初150人でスタートしたが400人まで収容可能な計画とするなど、周到に計画された事例。世界でも最先端といえるファシリティ戦略を見事に実現し、創立4年で従業員数2倍、売上高6倍に成長し、直近14四半期増収を続けている。何時でも何処でも誰とでもコラボレーションできる環境を構築、社員がそれを活用している状況は見事と言える。ICTをフルに活用してのワークスタイル・ワークプレイス・経営は、知的生産性を重視する企業の戦略的FMの先端的モデルとして高く評価された。
優秀FM賞 受賞は、この他、次の2件である。
1件目は 日本マイクロソフト(株)で、その「FM成功事例」が対象。既に第2回優秀FM賞を受賞しているが、2011年2月に都内5拠点を品川の賃貸ビル1棟に統合、モバイルワークの推進、過去に失敗したノンテリトリアルの成功、自社ソフト活用のワークスタイル改善など、継続的かつ戦略的にFMが進展していることが高く評価された。米国本社のグローバルFM戦略による新しいアウトソーシングモデル構築も、今後が注目される。
2件目は 明治安田生命保険相互会社で、その「本社ファシリティへのFMの取組みと実践」が対象。2004年の明治生命と安田生命の経営統合に対応し、経営資源の再配置と効率化を図るCRE戦略の立案と実施を中心とした事例。CREとCSRの2本柱の具現化、生保会社として堅実な事業継続性確保、本社ファシリティの集約化など、経営環境に応じたFM戦略を策定し的確に実践していることが高く評価された。
特別賞 受賞は、次の1件である。
東京大学グリーンICTプロジェクトで、「東京大学における電力使用量見せる化による節電」が対象。消費電力の「見せる化」を行ない、全キャンパスで節電意識を高め、ユーザーの自己責任で節電努力をした結果、30%という大幅な電力削減に成功したことが高く評価された。「見せる化」を可能にするために、異なるプロトコルを持つシステムを統合化するプラットフォームを開発した技術は、汎用性が高く他分野でも活用されつつある。ただ、電力消費の活動に限定されているため、特別賞となった。
技術賞 受賞は、次の2件である。
1件目は (株)クオリクスの「統合ファシリティ管理システムObject SCOPE」である。CAFMのソフトであるが、多様な既存の台帳情報を同一データベースに統合でき、関連マニュアルなど各種電子ファイルを紐づけて管理できるなど、判りやすく低廉な費用で情報を一元管理できる点が高く評価された。
2件目は (株)ユビテックの「自社開発のITによる省エネシステムを活用した省エネ活用事例」である。IT活用でリアルタイムに詳細な電力使用量を見える化し、既存の照明・空調設備を自動制御する次世代型の節電システムで、会議室など利用状況に応じた制御などFM的発想と、分析したいデータだけを取り出して評価し課題を明確化できる点などが高く評価された。
功績賞 受賞は、次の4件である。
1件目は 首都大学 李祥準(イ サンジュン)氏の「地方自治体の公共施設マネジメントに関する研究」が対象。竣工後の維持保全の実地調査を行ない、「公共施設管理」に関する実情と課題を明確にし、また公共FMの組織体制整備の実情を調査し、従来の縦割り体制と公共FMが進展しつつある体制との違いを明らかにした公共FMを主題とした博士論文である。公共FMの拡大に貢献する研究論文として高く評価された。
2件目は 国立大学法人 名古屋大学 恒川和久氏の「大学のファシリティマネジメントにおける評価の指標と方法に関する研究」が対象。大学におけるFMを進める上で重点的に管理すべき評価指標を明確化するとともに、FM戦略立案につなげる評価方法を提示している大学施設のFMに関する博士論文である。大学FMの進展に貢献する研究論文として高く評価された。
3件目は (株)NTTファシリティーズ総合研究所のEHS&S研究センター編著「リスクマネジメント99の視点」が対象。リスクマネジメントに関するヒントをまとめた出版物である。市販はせず社会貢献を意図して広く5000部を配布。99の視点で構成されているが、その半分程がファシリティに直接関連しており、東日本大震災の教訓も加えられていて、FMを一つの重要な視点で考える上で参考になる出版物として高く評価された。
4件目は (株)竹中工務店と(株)新建築社の「ワークプレイスづくりの手法と事例に関する書籍」が対象。ワークプレイスのプログラミング手法を具体的事例とともに紹介する出版物である。竹中工務店設計施工15事例を、プログラミング手法を構成する5つのPhaseに沿って展開している。FMにおけるワークプレイスづくりに参考になる出版物として高く評価された。
奨励賞 受賞は、以下の4件である。
1件目は 一般財団法人温知会 会津中央病院で、「病院のFMへの取組み」が対象。評価指標によるデータ重視の経営管理、52室の個室病室のマネジャー制度、患者を家族以上に手厚く看護するなどの施設運営面の努力により、10年以上黒字経営を果たしている。新築部分の免震だけでなく、既存部分の免震レトロフィットの耐震性確保など、建築技術的先進性も評価された。今後、FM体制の更なる整備が期待される。
2件目は 千葉県流山市で、「第二世代の公共FM―2つのPPP/FMの敷居を下げ自治体の標準装備に」が対象。青森県・佐倉市などの第一世代が切り開いた公共FMに対し、第二世代のFMを狙ったもの。FM戦略会議やFM推進委員会を中心に、全庁を巻き込んでFM活動を推進している点は評価された。今後、継続的活動や発展が期待される。
3件目は (株)リクルートホールディングス で、「グループ連携を推進し効率の最大化と経営への貢献を図ると共にインハウスとの連携も重視しモチベーションを最大化する『楽しむFM』の実践」が対象。本社だけでなくグループ企業を含めたFM活動の応募事例。グループ670拠点、50社のFMデータを一元管理し、標準化などグループ経営での利点を追及している点や、FM担当組織による創意と活気にあふれる「楽しむFM」を掲げる実践は、評価された。今後、継続的活動や発展が期待される。
4件目は ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社で、「『価値創造を最大限に引き出す環境づくり』の変遷」が対象。煙草というパイを大きくすることの望めない企業の中で、既喫煙者に安全と魅力を感じさせシェア拡大を狙う会社。コミュニケーションを中心としたワークプレイスとワークスタイルの改善事例。PDCAを回しながらワークプレイス改善を継続し、経営者の考えを反映してゲーム機が常備され、カジュアルウェアでの勤務可能などオープンな雰囲気がある。ファシリティコストを3年間で30%削減など戦略的FMが展開されている。今後、継続的活動や発展が期待される。
審査委員長 沖塩莊一郎
1.JFMA賞の概要
目 的: FMに関する優れた業績及び功績のあった組織と個人を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資する。
(1)表彰の種類
日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
@優秀ファシリティマネジメント賞(FM手法を取り入れ、優れた成果を上げている活動)(公募)
A特別賞
(FMの特定分野において優れた成果を上げ、特別に表彰すべきと認められる取組み)
B技術賞(FMに関する新しい手法・技術の取り組み)(公募)
C功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他)(公募)
D奨励賞 (非公募)
(2)第7回JFMA賞募集期間
2012年7月9日〜9月10日
(3)第7回JFMA賞審査委員会委員(委員長以下五十音順、敬称略)
沖塩 莊一郎(委員長、東京理科大学名誉教授)
池田 芳樹 (JFMA専務理事)
石福 昭 (社団法人建築設備綜合協会名誉会長)
北川 正恭 (早稲田大学 大学院教授)
鈴木 千輝 (国土交通省 大臣官房 官庁営繕部長)
多田 俊樹 (経済産業省 商務情報政策局 日用品室長)
宮嵜 清志 (日経BP社 建設局長)
村田 博文 (株式会社財界研究所 代表取締役)
柳澤 忠 (名古屋大学 名誉教授)
米倉 誠一郎(一橋大学大学院 教授)
尚、審査委員会の下にFM実践の実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。
2.第7回JFMA賞応募状況と選考経緯
応募状況: 優秀FM賞13件、技術賞4件、功績賞7件、計24件
選考経緯: 各専門委員が応募書類を精査し、各応募物件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀FM賞については8件、技術賞については2件を現地審査対象に選んだ。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選ぶことも決めた。
現地審査とプレゼンテーションの結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会で報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果をJFMA坂本会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定した。
優秀FM賞応募13件のうち3件が優秀FM賞受賞、その中の潟Vグマクシスは最優秀賞(鵜澤賞)に選ばれた。また、1件は特別賞、4件は奨励賞受賞となった。(1件は応募後、都合により辞退)
技術賞応募4件のうち2件が技術賞受賞、功績賞応募7件のうち4件が功績賞となった。
2012年12月20日(木)JFMA会議室において入賞者発表会を開催。
坂本会長 あいさつ |
沖塩委員長 結果発表 |
報道発表の様子 (2012年12月20日(木)13:00〜 JFMAにて実施) |
3.その他のお知らせ
日本ファシリティマネジメント大会(JFMA FORUM 2013)2013年3月12日(火)〜14日(木)
・JFMA賞授賞式 3月13日(水)15:50〜17:40
・受賞者による講演 3月14日(木)10:30〜17:40 (優秀賞、技術賞、特別受賞者による事例発表)
※以下、優秀FM賞、特別賞、技術賞について、発表資料を掲載しております。
発表資料の利用には、閲覧のみ可能と制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。
募集要項 [doc]
昨年までに行われたファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、
以下をご参照ください。
・JFMA賞 受賞事例集(約6MB)
・第1回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第2回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第3回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第4回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第5回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
・第6回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)