2013.04.01 JFMA賞事務局

第7回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)入賞 発表!

〜新たな経営変革にチャレンジ〜


 優秀FM賞 受賞は、今回3件である。
 最優秀賞(鵜澤賞)は、 (株)シグマクシスで、その「知識社会における価値創造環境実現のための戦略的FMの実践」が対象。経営コンサルティング企業であり、企業の経営資源である人材・ICT・ワークプレイスが一体となり、ワークスタイルとワークプレイス、更に人材評価システム、価値創造の仕組みが用意され、当初150人でスタートしたが400人まで収容可能な計画とするなど、周到に計画された事例。世界でも最先端といえるファシリティ戦略を見事に実現し、創立4年で従業員数2倍、売上高6倍に成長し、直近14四半期増収を続けている。何時でも何処でも誰とでもコラボレーションできる環境を構築、社員がそれを活用している状況は見事と言える。ICTをフルに活用してのワークスタイル・ワークプレイス・経営は、知的生産性を重視する企業の戦略的FMの先端的モデルとして高く評価された。

 優秀FM賞 受賞は、この他、次の2件である。
 1件目は 日本マイクロソフト(株)で、その「FM成功事例」が対象。既に第2回優秀FM賞を受賞しているが、2011年2月に都内5拠点を品川の賃貸ビル1棟に統合、モバイルワークの推進、過去に失敗したノンテリトリアルの成功、自社ソフト活用のワークスタイル改善など、継続的かつ戦略的にFMが進展していることが高く評価された。米国本社のグローバルFM戦略による新しいアウトソーシングモデル構築も、今後が注目される。
 2件目は 明治安田生命保険相互会社で、その「本社ファシリティへのFMの取組みと実践」が対象。2004年の明治生命と安田生命の経営統合に対応し、経営資源の再配置と効率化を図るCRE戦略の立案と実施を中心とした事例。CREとCSRの2本柱の具現化、生保会社として堅実な事業継続性確保、本社ファシリティの集約化など、経営環境に応じたFM戦略を策定し的確に実践していることが高く評価された。
 
 特別賞 受賞は、次の1件である。
 東京大学グリーンICTプロジェクトで、「東京大学における電力使用量見せる化による節電」が対象。消費電力の「見せる化」を行ない、全キャンパスで節電意識を高め、ユーザーの自己責任で節電努力をした結果、30%という大幅な電力削減に成功したことが高く評価された。「見せる化」を可能にするために、異なるプロトコルを持つシステムを統合化するプラットフォームを開発した技術は、汎用性が高く他分野でも活用されつつある。ただ、電力消費の活動に限定されているため、特別賞となった。
 
 技術賞 受賞は、次の2件である。
 1件目は (株)クオリクスの「統合ファシリティ管理システムObject SCOPE」である。CAFMのソフトであるが、多様な既存の台帳情報を同一データベースに統合でき、関連マニュアルなど各種電子ファイルを紐づけて管理できるなど、判りやすく低廉な費用で情報を一元管理できる点が高く評価された。
 2件目は (株)ユビテックの「自社開発のITによる省エネシステムを活用した省エネ活用事例」である。IT活用でリアルタイムに詳細な電力使用量を見える化し、既存の照明・空調設備を自動制御する次世代型の節電システムで、会議室など利用状況に応じた制御などFM的発想と、分析したいデータだけを取り出して評価し課題を明確化できる点などが高く評価された。
 
 功績賞 受賞は、次の4件である。
 1件目は 首都大学 李祥準(イ サンジュン)氏の「地方自治体の公共施設マネジメントに関する研究」が対象。竣工後の維持保全の実地調査を行ない、「公共施設管理」に関する実情と課題を明確にし、また公共FMの組織体制整備の実情を調査し、従来の縦割り体制と公共FMが進展しつつある体制との違いを明らかにした公共FMを主題とした博士論文である。公共FMの拡大に貢献する研究論文として高く評価された。
 2件目は 国立大学法人 名古屋大学 恒川和久氏の「大学のファシリティマネジメントにおける評価の指標と方法に関する研究」が対象。大学におけるFMを進める上で重点的に管理すべき評価指標を明確化するとともに、FM戦略立案につなげる評価方法を提示している大学施設のFMに関する博士論文である。大学FMの進展に貢献する研究論文として高く評価された。
 3件目は (株)NTTファシリティーズ総合研究所のEHS&S研究センター編著「リスクマネジメント99の視点」が対象。リスクマネジメントに関するヒントをまとめた出版物である。市販はせず社会貢献を意図して広く5000部を配布。99の視点で構成されているが、その半分程がファシリティに直接関連しており、東日本大震災の教訓も加えられていて、FMを一つの重要な視点で考える上で参考になる出版物として高く評価された。
 4件目は (株)竹中工務店と(株)新建築社の「ワークプレイスづくりの手法と事例に関する書籍」が対象。ワークプレイスのプログラミング手法を具体的事例とともに紹介する出版物である。竹中工務店設計施工15事例を、プログラミング手法を構成する5つのPhaseに沿って展開している。FMにおけるワークプレイスづくりに参考になる出版物として高く評価された。
 
 奨励賞 受賞は、以下の4件である。
 1件目は 一般財団法人温知会 会津中央病院で、「病院のFMへの取組み」が対象。評価指標によるデータ重視の経営管理、52室の個室病室のマネジャー制度、患者を家族以上に手厚く看護するなどの施設運営面の努力により、10年以上黒字経営を果たしている。新築部分の免震だけでなく、既存部分の免震レトロフィットの耐震性確保など、建築技術的先進性も評価された。今後、FM体制の更なる整備が期待される。
 2件目は 千葉県流山市で、「第二世代の公共FM―2つのPPP/FMの敷居を下げ自治体の標準装備に」が対象。青森県・佐倉市などの第一世代が切り開いた公共FMに対し、第二世代のFMを狙ったもの。FM戦略会議やFM推進委員会を中心に、全庁を巻き込んでFM活動を推進している点は評価された。今後、継続的活動や発展が期待される。
 3件目は (株)リクルートホールディングス で、「グループ連携を推進し効率の最大化と経営への貢献を図ると共にインハウスとの連携も重視しモチベーションを最大化する『楽しむFM』の実践」が対象。本社だけでなくグループ企業を含めたFM活動の応募事例。グループ670拠点、50社のFMデータを一元管理し、標準化などグループ経営での利点を追及している点や、FM担当組織による創意と活気にあふれる「楽しむFM」を掲げる実践は、評価された。今後、継続的活動や発展が期待される。
 4件目は ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社で、「『価値創造を最大限に引き出す環境づくり』の変遷」が対象。煙草というパイを大きくすることの望めない企業の中で、既喫煙者に安全と魅力を感じさせシェア拡大を狙う会社。コミュニケーションを中心としたワークプレイスとワークスタイルの改善事例。PDCAを回しながらワークプレイス改善を継続し、経営者の考えを反映してゲーム機が常備され、カジュアルウェアでの勤務可能などオープンな雰囲気がある。ファシリティコストを3年間で30%削減など戦略的FMが展開されている。今後、継続的活動や発展が期待される。
                                              審査委員長 沖塩莊一郎

1.JFMA賞の概要
目 的: FMに関する優れた業績及び功績のあった組織と個人を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資する。
(1)表彰の種類
  日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
  @優秀ファシリティマネジメント賞(FM手法を取り入れ、優れた成果を上げている活動)(公募)
  A特別賞
    (FMの特定分野において優れた成果を上げ、特別に表彰すべきと認められる取組み)
  B技術賞(FMに関する新しい手法・技術の取り組み)(公募)
  C功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他)(公募)
  D奨励賞 (非公募)
(2)第7回JFMA賞募集期間
  2012年7月9日〜9月10日
(3)第7回JFMA賞審査委員会委員(委員長以下五十音順、敬称略)
  沖塩 莊一郎(委員長、東京理科大学名誉教授)
  池田 芳樹 (JFMA専務理事)
  石福 昭  (社団法人建築設備綜合協会名誉会長)
  北川 正恭 (早稲田大学 大学院教授)
  鈴木 千輝 (国土交通省 大臣官房 官庁営繕部長)
  多田 俊樹 (経済産業省 商務情報政策局 日用品室長)
  宮嵜 清志 (日経BP社 建設局長)
  村田 博文 (株式会社財界研究所 代表取締役)
  柳澤 忠  (名古屋大学 名誉教授)
  米倉 誠一郎(一橋大学大学院 教授)
 尚、審査委員会の下にFM実践の実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。

2.第7回JFMA賞応募状況と選考経緯
応募状況: 優秀FM賞13件、技術賞4件、功績賞7件、計24件
選考経緯: 各専門委員が応募書類を精査し、各応募物件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀FM賞については8件、技術賞については2件を現地審査対象に選んだ。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選ぶことも決めた。
 現地審査とプレゼンテーションの結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会で報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果をJFMA坂本会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定した。
 優秀FM賞応募13件のうち3件が優秀FM賞受賞、その中の潟Vグマクシスは最優秀賞(鵜澤賞)に選ばれた。また、1件は特別賞、4件は奨励賞受賞となった。(1件は応募後、都合により辞退)
 技術賞応募4件のうち2件が技術賞受賞、功績賞応募7件のうち4件が功績賞となった。
 2012年12月20日(木)JFMA会議室において入賞者発表会を開催。


坂本会長 あいさつ

沖塩委員長 結果発表
報道発表の様子 (2012年12月20日(木)13:00〜 JFMAにて実施) 
 

3.その他のお知らせ
日本ファシリティマネジメント大会(JFMA FORUM 2013)2013年3月12日(火)〜14日(木)
 ・JFMA賞授賞式    3月13日(水)15:50〜17:40
 ・受賞者による講演  3月14日(木)10:30〜17:40 (優秀賞、技術賞、特別受賞者による事例発表)

 

※以下、優秀FM賞、特別賞、技術賞について、発表資料を掲載しております。
 発表資料の利用には、閲覧のみ可能と制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。

(敬称略)
項目 表彰対象 受賞者 受賞案件の特長




   最優秀賞(鵜澤賞)     (株)シグマクシス
経営コンサルティング企業のオフィスについての事例である。「知識社会における価値創造の支援」を掲げる経営ビジョンに沿って、企業の経営資源である人材・ICT・ワークプレイスが一体となり、ワークスタイルとワークプレイス、さらに人材評価システム、知恵創造の仕組みが用意されている。ノンテリトリアルオフィスとして計画・運用されているが、当初150人でスタートしたが400人まで収容可能な計画とするなど、周到に計画されている。意識の高いナレッジワーカーたちにより、ワークプレイスが自律的に運用されており、FM担当部門の積極的な関与が必要ないほどである。創業5年目を迎えて全社的なPDCAサイクルを回す仕組みを確立中である。ナレッジワーカーのワークスタイルとワークプレイス、ビジネス推進のあり方を示すビジネスモデルのひとつといえる。このワークプレイスを舞台として、創立後4年間で従業員数は2倍、売上高は6倍に成長している。
 
知識社会における
価値創造環境の実現の
ための戦略的FMの実践
(東京都港区)
 

 
日本マイクロソフト株式会社
におけるFMの成功事例
(東京都港区)
 

 
日本マイクロソフト(株)
米国系グローバル企業におけるFMの事例。すでに第2回優秀FM賞を受賞しているが、その後2011年2月に都内5拠点を品川の賃貸ビル1棟に統合化するなど、継続的かつ戦略的にFMが進展している。社員一丸となった環境創造と日本に根付き、信頼される企業をめざして、ワークプレイスの改革、顧客とのコミュニケーション・コラボレーションを重視するカスタマーエリアが構築されている。自社ソフトを活用したワークスタイルの改善もあり、3度失敗したノンテリトリアルオフィスもユーザー参加型を加味して成功させている。米国マイクロソフト社のグローバルなFM戦略のもとに、リアルタイムに近い定期的評価とインハウスファシリティマネジャーがより戦略的な業務への集中できるよう新しいアウトソーシングモデルの構築するなど、組織体制改革の挑戦も評価できる。
 

本社ファシリティへの
FMの取り組みと実践
(東京都千代田区)
 

 
明治安田生命
保険相互会社

M&Aによる経営資源の再配置と効率化を図るCRE戦略の立案と実施を中心とするFM活動の事例である。施設統廃合では、2007年には最大12施設に分散していたものを4施設に集約化している。大手金融機関の1つとして、スペース標準の確立、大平面のワークプレイス、ユニバーサルプラン化などオーソドックスなFM手法が採用されており、新規性はないが一定の水準を確立している点は評価される。経営統合後にPDCAを回して継続的に改善している点もよい。その到達点として丸ノ内施設と高田馬場施設の改善、新東陽町ビルの建設などがあり、2011年末ころより効果を発揮しつつある。不動産部の1名が12年間業務に従事し、担当役員の承認のもとに継続的なCRE戦略の立案と実行ができている点は他社の参考となろう。
 



東京大学における
電力使用量見せる化
による節電
(東京都文京区)
 

 
東大グリーンICT
プロジェクト

何よりも知的レベルのあるキャンパスユーザーを対象に、消費電力の「見せる化」を行い、全キャンパスで節電意識を高め、ユーザーの自己責任で節電努力をした結果、30%という大幅な電力削減に成功したことを評価したい。また、「見せる化」を可能にするために、異なるプロトコルをもつシステムを統合化するプラットフォームを開発した技術は、汎用性が高く、大学キャンパスを含めて他分野で活用されつつある。当大学の全キャンパスへのシステム適用など、今後の発展も期待できる。電力消費の活動に限定されており、特別賞の授与がふさわしい。
 



統合
ファシリティ管理システム
Object SCOPE
(オブジェクトスコープ)
(東京都港千代田区)
 

 
(株)クオリクス
いわゆるCAFMシステムのソフトウェアに関する応募である。製薬会社の研究所など3事例の実績がある。CAFMソフトとしては、多種多様な情報を一元管理できるという特徴をもっており、ユーザー側が機材・設備・備品などの活用を図るために閲覧して利用することができ、研究所では研究機材の活用につながっている実績がある。したがって、FM部門だけでなく、クライアント/サーバー・システムにおいて500クライントでユーザーが活用するなど、これまでのCAFMシステムにはない利用ができる。同技術の継続性もあり、初期投資・メンテナンスともに低廉な価格設定がされている。
 
自社開発のITによる
省エネシステムを活用
した省エネ活用事例
(東京都品川区)
 

 
(株)ユビテック
システムとしては、既存の照明制御システム、空調制御システムに、人感センサー、リレースイッチなどを組み合わせ、利用状況に応じたきめ細かな制御により、節電を可能とするシステムである。ASP方式で、利用者側に負担の少ないシステムで、既存の多様な機器から得られる情報を活用して、利用状況に応じた制御と分析評価を行うことに集約化したソフトである。制御の細かさは利用者企業側のニーズに応じて細分化ができるが、同社で利用している例では大部屋執務室の照明1台ごと個別空調機1台ごとの制御をしており、きめ細かな発停により節電を図っている。商品としてはソフトに限定しており、人感センサー、リレーSW、照明制御システムなどは追加の工事・設置が必要となるが、提携会社の責任範囲となっている。会議室など利用状況に応じた制御というFM的な発想と、分析したいデータだけを取り出して評価し、課題を明確化できるなどの利点をもっている。
 



地方自治体の
公共施設マネジメント
に関する研究
Improving the
Efficiency of Public
Facilities Management
in Municipalities
(東京都八王子市)
 
首都大学東京
都市環境学部
建築都市コース
助教
李 祥準(イ サンジュン)

公共FMを主題とした博士論文の応募である。地方自治体の施設の現状など全般的な課題の把握もされているが、本論文の優れた点は、竣工後の維持保全の実地調査を行い、「公共施設管理」に関する実情と課題を明確化したことにある。コミュニティ施設の48施設の現地調査で、全施設を対象とするものではないが、公共施設管理の実態と課題の理解の助けとなる。また公共FMの組織体制整備の実情を調査し、従来の縦割りの体制と公共FMが進展しつつある体制との違いを明らかにしている。公共FMの拡大に貢献する研究論文といえよう。
 
大学のファシリティマネジメント
における評価の指標
と方法に関する研究
(愛知県名古屋市)

 
名古屋大学大学院
工学研究科 工学部
施設整備推進室
准教授 恒川和久

公共FMのうち、大学施設のFMに関する博士論文の応募である。大学におけるFMを進めるうえで重点的に管理すべき評価指標を明確化するとともに、FM戦略立案につなげる評価方法を提示している。具体的には施設運営費、エネルギーマネジメント、施設整備等の優先順位などに関する評価指標が検討され、現状評価と目標設定となる目安などが提案されている。施設運営費については大学間のベンチマーキング、施設利用度などについては整備されている名古屋大学のFMデータベースが活用されている。また本研究は名古屋大学におけるFMの活動と連携しており、大学経営に寄与している点も成果としてあげられ、大学FMの進展に貢献する研究といえる。
 

EHS&S研究センター編著
「リスクマネジメント99の視点」
(東京都台東区)

 
(株)NTTファシリティーズ
総合研究所

リスクマネジメントに関するヒントをまとめた出版物だが、市販はせず社会貢献を意図して広く5000部を配布する形式としたものの応募である。99の視点で構成されているが、その半分ほどがファシリティに直接関連している。編著はNTTファシリティーズ総合研究所EHS&S研究センターで、同社の25周年記念出版として東日本大震災から1年後にまとめられたので、大震災の教訓も加えられている。
 

ワークプレイスづくりの
手法と事例に関する
書籍
(東京都江東区)

 
(株)竹中工務店
(株)新建築社

ワークプレイスのプログラミング手法を具体的事例とともに紹介する出版に関する応募である。竹中工務店のワークプレイス構築のプログラミング手法は、米国で開発されたプロブレム・シーキングの手法を改良したもので、同社の顧客のワークプレイス構築に実際に活用されている。同社の設計施工事例作品集という面もあるが、プログラミング手法を構成する5つのPhaseに沿って、15の事例が展開されており、15の顧客企業の情報とともに、FMにおけるワークプレイスづくりの際に参考となる出版物といえる。
 



会津中央病院
(福島県会津若松市)
 
一般財団法人
温知会
会津中央病院

施設づくりプロジェクトに際して、患者の自由を束縛しない空間、従来の病院スタイルからの脱却をめざしたコンセプト、ならびに新築部分の免震+既存部分の免震レトロフィットの耐震性確保などの建築技術的先進性がある。しかし、FMの体制整備と定期的な現状評価による継続的な改善という部分では弱さがある。評価指標によるデータ重視の経営管理、52室の個室病室のマネジャー制度、患者を家族以上に手厚く看護するなどの施設運営面の努力により10年以上黒字経営を果たしている。新棟建設は途上にあり、既存部分で増改築を繰り返してきた結果の迷路のような動線、施設品質の格差などの課題解決は今後の新棟建設を待たねばならない。しかし、既存新棟には患者の居場所としても機能する商店街、個室病室がつくられるなど、経営側の意欲的な施設づくり全体の意図は十分理解できる。
 

第二世代の公共FM
〜2つのPPP/FMの
敷居を下げ自治体の
標準装備に〜
(千葉県流山市)
 

 
千葉県流山市
地方自治体による公共FM実践の応募である。全体最適を図る各種施策の立案とその実行、ならびに全庁横断的な業務管掌をもつFM担当組織の確立はまだだが、「FM戦略会議」「FM推進委員会」という委員会組織を採用している点に特徴がある。同市の場合、その実践の途上にあり、全体最適を図る施策立案と遂行は未着手の状態であるが、実質総務部財産活用課を中心にして市長をはじめ全庁を巻き込んでFMの活動を推進している点、および総合計画に方針を盛り込んでいる点は、評価したい。全庁横断的なFM体制の構築にはさまざまな障害があると思われるが、今後の継続的な活動、さらなる発展に期待したい。
 

グループ連携を推進し、
効率の最大化と経営への
貢献を図ると共に、
インハウスとの連携も重視し、
モチベーションを最大化する
「楽しむFM」の実践
(東京都千代田区)
 
(株)
リクルートホールディングス

本体だけでなくグループ企業を含めたFM活動の応募事例である。グループの670拠点、50社のFMデータを一元管理し、標準化などグループ経営での利点を追求している点は高く評価できる。また、若手のFM担当組織による創意と活気にあふれる「楽しむFM」というイメージを掲げる業務実践も、これまでの応募事例にないユニークな点である。経営陣からも信頼・確認がされ、社員も協力的であるなど、経営のなかでFMが確立されている。賃借料を5年間で230億円/年から70億円/年分削減するなど、FMの成果もあげている。
 

「価値創造を最大限
に引出す環境づくり」
の変遷
(東京都港区)
 

 
ブリティッシュ・アメリカン・
タバコ・ジャパン・
合同会社

コミュニケーションを中心としたワークプレイスとワークスタイルの改善の事例である。喫煙者と非喫煙者双方がよいパフォーマンスを発揮できるワークプレイスの改善を応募テーマとしているが、スペース標準の改良、ノンテリトリアルオフィスの試行錯誤、固定席への改善などPDCAを回しながらワークプレイスの改善を継続している。カジュアルなコミュニケーションを行う場は、2001年(1箇所)から2012年(15箇所)まで発展させている。また、仕事のONとOFFをはっきりさせるには気分転換も必要という経営者の考えを反映してコミュニケーションスペースにはゲーム機が常備され、ゲーム大会も開催される、3.11以降完全カジュアルウェアでの勤務可能など、オープンな雰囲気がある。ファシリティコストは3年間で30%削減、全国88箇所の営業拠点を廃して、直行直帰型に切り換えるなど、戦略的なFMが展開されている。
 



募集要項

募集要項 [doc]

 

 

(参考)過去のファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者

昨年までに行われたファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、
以下をご参照ください。
 
JFMA賞 受賞事例集(約6MB)
 
第1回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第2回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第3回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第4回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第5回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第6回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)