試験合格者の声

認定ファシリティマネジャー資格試験をどうして受験したのか、どのように試験対策をしたのか、資格をどのように生かしていくのかについて、実際に試験に合格した方の声を伺ってみました。
FMの学習方法や利用方法について、是非参考にしてください。

■■認定ファシリティマネジャー資格試験■■
ファシリティマネジャーとしての基本的素養を確認するため、FMに関連する専門知識、業務、技術の資格試験を行います。試験の受験案内については以下のページでご紹介しています。
認定ファシリティマネジャー(CFMJ) 資格 試験案内

2024年度認定ファシリティマネジャー資格試験 合格者の声

以下に、2024年度認定ファシリティマネジャー資格試験の合格者の方々の声をご紹介します。
気になったタイトルをクリックすると詳細を読むことができます。

※ 以下の内容は、JFMA機関誌「JFMAジャーナル NO.217 2025 WINTER」に掲載されている内容から引用しております。JFMAジャーナルは、JFMA会員の皆様に無料で配布しているほか、書籍ページ からもご購入できます。


■ FMの視点を取り入れた「使いやすい」施設運営を目指す

 佐藤弘生(一般財団法人札幌産業流通振興協会)
  私は、展示施設を保有し、管理・運営している財団法人において、展示会やイベントの誘致・構築、会議室の運用や施設管理の貸館業務に携わる部署に所属している。
 日々業務を遂行していくなか、当財団が保有する施設の中期保全の計画に携わることになり、施設管理全般に関する体系的な知識を身につけることが重要であると上司から「認定ファシリティマネジャー資格試験」を紹介され受験することとした。
 資格取得に向けた学習では、専門用語が多く自分自身の知識不足を痛感したが、テキストを熟読し、過去問題の反復に取り組む学習方法で理解を深めた。
 また、北海道ファシリティマネジメント協会が主催した特別講座での試験対策の説明がわかりやすく、合格につながったと今でも実感している。
 学習した内容は、業務に関連することが多く、経営目線での考え方や財務管理も学ぶことができたため、現在の業務に大いに役立てられている。
 私が住む札幌市では、2027年に現施設の3倍の展示面積を有する展示施設の開業が予定されている。展示会産業は、主に、来場者、主催者のほか、さまざまな支援企業、そして展示施設から成り立っているが、大規模展示施設が開業することで、これまで以上に展示会・イベントが開催される可能性が生み出される。
 これからはCFMJの資格取得の経験や知識を活用し、FMの視点を取り入れ、お客さまから「使いやすい」と言われ続ける展示施設の運営を目指し、課題解決に向け自らの職責を果たしていきたい。

■ 「顧客満足」と「持続可能な社会に貢献する」
  両立するファシリティマネジャーへ
 三浦 玲(高砂熱学工業株式会社)
 私が認定ファシリティマネジャーの資格を取得したいと考えたのは、同じ職場の同僚がこの資格を持っており、自慢げに話をしていたことがあり、「よ〜し!自分も取ってやる!」と始まりは少し不純な気持ちでのスタートであった。
 私の仕事は建設設備の施工部門が中心の業務であり、ファシリティマネジメントが主というわけではない。当社の業務は顧客のニーズを聞き取り設計に盛り込み、打ち合わせにて顧客の要望や運用に関わる問題点の情報をいただき、さらにそれらを施工に反映し、試運転調整を行い、竣工、引き渡しするというのが通常の流れである。この資格の勉強を始めてテキストや過去問題集で学んでいく中で、建物の維持管理やそこで働く人々の、現在求められている最新の情報や大切な項目、その管理手法や改善方法などを学ぶことができた。また、私が担当している業務の中でも新築工事の需要よりもリニューアル・改修工事の需要が多くなっていることも実感しており、企業経営の中でファシリティマネジメントの重要性は確実に増してくるであろうと確信している。今回当資格受験の学習を経て、地球環境問題への取り組み、自然災害への対応、ユニバーサルデザインの考え方や多様性への柔軟な対応、さまざまな知見を得ることができた。今後、その知見を活かして当社が目指している環境クリエイター® として、顧客の満足する環境を創りだし、皆が笑顔でいられる持続可能な社会に貢献していきたい。
※「環境クリエイター」は、高砂熱学工業株式会社の登録商標です。

■ 経営の一翼を担うファシリティマネジメントへの挑戦

 臼井 文浩(第一三共株式会社)
 私が認定ファシリティマネジャーの資格取得を目指した理由は、「人・情報・カネ・モノ(ファシリティ)」の4 つの要素が重要な経営資源であり、ファシリティマネジメントが第四の経営基盤であるという考えに共感し、その役割を担う組織の仕事が経営において極めて重要なものと感じたからである。ファシリティマネジメントは、組織の健全な運営と持続的な成長の基盤を支えるものであり、経営に貢献するだけでなく、社員が快適かつ効率的に働ける環境を提供することにも大きく寄与するものである。このような意義を理解し、資格取得を通じてファシリティマネジメントを体系的に学ぶことで、自身の知識を深め、会社におけるファシリティマネジメント推進に役立てることを目指した。
 学習方法としては、一般社団法人ニューオフィス推進協会主催の試験対策講座に参加し、基礎的な知識から最新のトピックまで網羅的に学ぶことで、全体的な理解を深めた。また、『公式ガイド ファシリティマネジメント』を用いて各項目を確認しつつ、認定ファシリティマネジャー資格試験問題集による過去問演習を繰り返すという方法を採用し、理論と実践の双方を意識した学習を行った。このサイクルを通じて、実務に直結した知識を身につけ、試験に臨むための実力を着実に養うことができたと感じている。
 今後は、この資格を活かし、会社のファシリティマネジメント推進を通じて経営の一翼を担う存在としての責務を果たし、組織の発展および社員が働きやすい環境づくりに大いに貢献していきたいと考えている。

■ お客様のFM業務をデジタルの力で変革し、
  活き活きと働ける環境の実現へ
 岡西 宏章(日本電気株式会社)
 当社ではお客様FM業務の課題解決のためのコンサルティングや、IT パッケージの導入・運用のサービスを提供している。その中で私は現在FM 領域のIT サービスの企画開発を担当している。なお入社してから長年の間はIT システムの運用業務(FM 業務と同様のバックオフィス業務)に従事しており、現場の苦労と企業にとってかけがえのない存在の両面を肌身で感じていた。その一方で業務に対してはマイナス評価が主体で、成果のアピールが困難な環境であることも感じていた。また昨今は従業員エンゲージメントが業績に影響するとの背景もあり、経営からFM 部門に対して従来の管理型から戦略型へのシフトも期待されていると感じている。そうした環境下で労働集約的なFM 業務をデジタルの力で変革し、企業にとってより貢献できる業務へシフトしていくこと。そして関係する全ての人々が活き活きと働ける環境を実現することが、世の中に求められていることであり私がやりたいこととも一致する。
 今回の資格取得で何より良かったことが、お客様が業務で何を行い、何を目指そうとされ、何に困っているのか、その明確なイメージが掴めるようになってきたこと。更にはお客様との共通言語で会話が出来ることで、以前よりスムーズで深い意思疎通が図れるようになってきたことが上げられる。
 これからは本資格で得た知識を活用し、お客様の目指す未来を、お客様と共に創り上げていくことに邁進していきたい。

■ 物流不動産にファシリティマネジメントの導入を

 中田 直政(SGリアルティ株式会社)
 私は佐川急便を中核とする企業グループの不動産会社に2014 年に入社し、施設開発部門において、インハウスのコンストラクションマネジャーとして、グループ利用施設をはじめ物流不動産を中心とする事業用資産の開発に関わる仕事をしてきた。現在、当社の保有する施設をはじめ、グループ会社が利用している施設総数は1,000 以上であり、その管理・運用にあたっては、開発担当の視点に留まらず、グループCRE 戦略を積極的に推進できるファシリティマネジメント(FM)の専門知識が必要であると感じるようになった。
 経営者や施設利用者など幅広い視点でグループ資産を管理できるスキルを身につけたいとの思いから、ちょうどこの資格のことを知ったタイミングで、偶然にも同じチームメンバーのひとりから『公式ガイド ファシリティマネジメント』を購入したいとの話があり、これは何かの縁ではないかとの思いから、同日、受験を即決した。
 当社にはまだFM を担う専門部署がない。資格取得をきっかけに、専門性を高め、俯瞰的にファシリティを見ることで、従来の施設管理から戦略的な施設マネジメントへの転換を目指し、価値の高い提案が行えるよう、専門部署を立ち上げたいと考えている。
 なお当グループでは、2007 年の当社設立により、不動産の所有と利用の分離が進められており、倉庫や物流施設をコストセンターではなく投資対象として見ることができる下地がある。社会インフラを支える物流企業グループのファシリティマネジメント部門を組織化し、経営の柱となるよう尽力したいと考えている。

■ ICTとFMの視点から持続可能なファシリティ運営を目指して

 本田 愛賀(株式会社内田洋行)
 私は、自治体へICT 機器やネットワークインフラの構築支援を中心とした新規開拓業務に携わっている。児童生徒が学ぶ場、教職員の働く場、そして地域住民が利用する一面もある「学校」の役割が多機能化しているなかで、単にICT 機器やクラウドソリューションを導入するだけでなく、学校が持つ機能や価値を再検討する視点を養いたいという思いが強くなった。また、規模が大きくかつ息の長いプロジェクトを担当する機会が増えるなか、プロジェクトの管理やファシリテーターとしての意識の醸成につなげたいと考え、受験を決意した。
 資格試験の受験を通して、マネジメントのフレームワークや視点、これまで実務経験のなかった領域の知識も学ぶことができ、多岐にわたるFM 分野を横断的に見る視座が広がった。試験対策中にはファシリティマネジメントフォーラムの講演を視聴したことで、企業や自治体の課題の捉え方や、体制構築から施策実施までのプロセスを学び、実務理解に活かすことができた。
 今後は資格取得を通して得たFM の視点と知識を日々の提案活動に活かし、持続可能なファシリティ運営を目指し、自治体職員と共にプロジェクトに取り組んでいきたいと考えている。そのためにも、まずは現場の声をしっかりと聞き取りながら、ファシリティを利用するユーザーがいることを忘れずに、日々邁進していきたい。

■ ファシリティマネジメントの考え方と
  時代の感覚を捉えた技術者を目指して
 増川 義人(信濃建物総合管理株式会社)
 私は、全国に施設を所有する法人の建物管理をおこなう会社に所属し、主に営繕領域を担当している。LCP( 長期修繕計画) に基づき、最適な維持管理ができるよう、マネージメントを行うのが主な業務内容である。私が、認定ファシリティマネージャー(CFMJ)を目指すようになったのは、業務の目指すべき方向性が合致する部分が多く、広く考え方を学び、業務の中に取り入れたいと考えたからだ。
 受験に際しては、『公式ガイドブック ファシリティマネジメント』を熟読し、過去問題集を解くことを繰り返した。また、オンラインによる講義では、新たな発見もあり大変に参考になった。特に、論述試験のポイントについては、設問の趣旨とポイントを押さえることの大切さを学んだ。
 今後の抱負としては、受験を通して得た知識を、わが社の業務に沿って考えを整理し、社内で考え方などを共有しながら、時代のニーズに合った建物の維持管理に反映させる等、業務の最適解を得られるようにし、PDCAサイクルを有効に回してまいりたい。また、現在の業務は「DO」の色合いが強いが、今後は、DX やICT をもっと活用し、業務効率化することで、スパイラルアップできる仕組みを構築したいと考えている。
 時代は変化の連続で、地球環境に配慮したさまざまな取り組みや、建設労働者の不足による労務費の高騰、DX による業務改革など、さまざまな変化がある。また、建設業界の技術領域も日進月歩である。そのような中で、自分自身、今後も学び続け、日々、アップデートし、向上心を持って、会社に、社会に貢献してまいりたい。

■ 自らの経験を今後に活かす

 松田 直子(パナソニック株式会社)
 私はIT 通信サービス企業勤務時代に、偶然外資系企業の移転を請け負ったことをきっかけに、連続して数社の企業移転業務を担当させていただき、ICT 分野から内装工事に至るまでのファシリティ業務に携わってきました。パナソニックに転職して、ネットワーク事業、ビルシステム事業、空間ソリューション事業に携わり、社内複業制度で現在のパナソニックコネクト社でコロナ禍のO365 全社導入PJ やRPAPJ に参画する機会をいただきました。その際知りあった人事組織改革担当の熊谷部長がJFMA の雑誌に載っているのを拝見し、すぐ質問しました。私自身2023 年に病気で入院・手術を経験し、思うように動けない時期を過ごしていたこともあり、気弱になっていたのですが、快くアドバイスをいただき励まされました。自分じゃ無理かな?と思いながらも頑張ってみて、本当に良かったと思います。資格取得したことが自らを励ますことになり、学ぶとさらに得られる驚き喜び探究心が沸き上がると、好循環のモチベーションUP になっています。
 私が所属する部署は、ビルの建築・移転でのビジネスが主なビジネスであり、大規模システムを取り扱います。新築・リニューアル・移転などの仕事がとても多い分野であるため、ファシリティマネジメント的視点を活かして、さらに貢献し続けたいです。自社の事業、社内および社外へ。もっと幅広い視野でアプローチし、役に立てる人間になれるよう、学び・努力し続けていきます。

■ FMの提案・活用により、お客様の「将来の利」を創造する

 栗原 卓也(株式会社沢田工務店)
 私の業務は法人企業様から依頼をいただき、工場や倉庫、クリニックや商業施設等の建築を請け負う仕事である。私がFM の試験を受験しようと思ったきっかけは、お客様からいただく多くの要望がFM の内容に非常に合致すると感じたからである。
 「社員が働きやすい職場環境づくり」や「建物の維持・保全」、「不動産の有効活用」等、FM で学ぶ多くの事が実際の現場では潜在ニーズとして眠っている。
 今回、受験をきっかけに自身の知識がより一層ブラッシュアップされたとともに、日々生み出されるFM の知識について継続的に勉強していこうと感じた。
 試験の勉強方法としては『公式ガイド ファシリティマネジメント』を読む前に、まず『新・第四の経営基盤』を読むことを勧めたい。FM の内容が簡易的にまとまっており、読みやすい内容になっているので大枠を理解しやすい。『公式ガイド ファシリティマネジメント』は全てのページを読むより、過去問題を実施して分からなかったり、気になったところの深い知識や周辺の知識を学ぶために使用することが有効だったと感じる。また、SNS で配信している「FM のいろは」*も非常に分かりやすい。
 今後、私はファシリティマネジャーとしてお客様に対して目先の改善だけではなく、将来を見据えた提案をしていく。
 建物のライフサイクルコストの提案やウェルビーイングな職場の提案、施設の有効活用の提案、多様性な働き方の提案等をする。それにより企業と従業員のエンゲージメントを高め、生産性を向上し、地域の活性化に貢献できるファシリティマネジャーになれるよう、日々精進していく。
 JFMA公式YouTubeチャンネル「JFMA_CHANNEL」 で配信されている「FMい・ろ・は」

■ ISOマネジメントシステムとFMの深化を目指して

 櫻井 千裕(イオンディライト株式会社)
 当社はISO 9001(品質)、ISO 14001(環境)を全社で、ISO 41001(FM)、ISO 27001( 情報セキュリティ)を一部の部署で認証取得している。私はISO 認証を管理する部署に所属しており、これまでは主にFM 以外のISO マネジメントシステムの認証管理を行っていた。FM に関しても知識を深めたいと考え、今回認定ファシリティマネジャー試験を受験することに決めた。
 当社では会社主催による試験の対策講座があり、これを活用して学習を進めた。『公式ガイド ファシリティマネジメント』を片手に事前学習課題に取り組むことで、学科試験に必要な各種キーワードの理解を深めた。試験前は、公式の試験問題集(過去問)を解きながら公式ガイドを再確認し、理解不足をなるべく少なくするよう努めた。論述試験対策としては、対策講座で論述の組み立て方などをご教授いただき、実際にいくつかのテーマについて自分で原稿を作成した。一部のテーマについては講師の方に添削していただき、それを元に自分のスタイルを見つけて試験当日を迎えた。
 試験期間の前後にISO 41001(FM)の内部監査や外部審査に携わる機会があった。初めてISO 41001(FM)のマネジメントシステム文書や顧客との契約書等を確認したが、ファシリティマネジャー試験の学習で得た知識があったため理解しやすいと感じた。今後は、認定ファシリティマネジャーとして、ISO マネジメントシステムを継続的に改善することにより、当社のFM 事業が顧客の経営基盤をより強固に支えることができるよう、貢献していきたいと考えている。

■ FMを活用したプロジェクトマネジメントの実践

 中村 祐記(明豊ファシリティワークス株式会社)
 私は現在、コンストラクションマネジメント業に従事し、主には建物の基本構想から選定業務、設計マネジメントに従事している。特に建物用途を限定せず、庁舎から工場まで幅広いプロジェクトに関わっている。
 発注者のさまざまな要望に触れる中で、最近の発注者のワークプレイスに関する要望の強さに直面し、その中で幅広いワークプレイスの知見を得、またその知識を有していることの証としてのファシリティマネジャー資格に挑戦し、このたび取得した。
 今の時代において、ワークプレイスの充実化はオフィスに限らず、人が働くあらゆる建物に対して必要とされている。これから人口減少が避けられない時代の流れにおいて、限られた人がいかに生産的、健康的、かつ心地よく働くための空間が提供されているかは各企業にとって重要な関心ごとであり、建物を建てるうえでの大きな要因となっている。
 発注者支援によってプロジェクトをマネジメントする立場として、ワークプレイスの知識は不可欠なものとなっている。発注者からのワークプレイス要望を理解し、新たなアイデアを提示し、また設計者にその要望を正確に伝達し、よりよいプロジェクトに導くために、この資格取得にて得られた知識をフルに活用していく。発注者と設計者の意識の溝を埋め、プロジェクトに関わっている人たちがひとつの方向に向けて、新しいワークプレイスの価値を生み出す、その支援を行っていく。その先に、日本全体のワークプレイスの質の向上に寄与していきたいと考えている。

■ 視野を広げるために

 河野 洋介(東広島市財務部)
 私は、地方自治体で建築職として採用され、建築営繕、建築行政、施設計画・管理など、主に事業部局で建築に関する業務を行ってきましたが、2023 年4 月から現在の財務部に異動となり、これまでとは異なる立場で公共施設全般に関わることとなりました。
 公共施設等総合管理計画に目を通し、保全業務、個別事業などの調整や助言、財政運営に関する事業計画の調査など公共施設全般に関わる業務を行っています。そんな中、約1,300 棟にも及ぶ本市の公共施設を少しずつ眺めながら、何をすべきか、何を学習すべきか悶々と考えているとき、JFMA から本市へ定期的に送られてきているメールに認定ファシリティマネジャーのことが掲載されているのを見つけました。公共施設マネジメントのスキルアップにつながると思ったのが、受験に至ったきっかけです。実際に学習してFM を体系的に学ぶことができたと思いますが、とても幅広いですね。率直な感想です。本市では、多くの自治体さんと同様に、施設の維持管理、長寿命化、利活用など多くの事業において、市民要望をお受けしながら、一方で財政支出を抑えながら施設の質、量とも適正化を図っていくという課題に直面しています。こうした課題を解決していくためには広い視野と実践的な学び、そして、統括的なFMの実施体制の構築が必要だと思っています。
 まだ経験が浅いのですが、これを機に公共施設マネジメントに携わっている自治体の皆さま、FM を実践されている民間企業の皆さま方と意見交換させていただければ幸いです。

■ 「ひとの力」で築く安全・安心・快適な社会と未来へ

 松原 康平(株式会社三越伊勢丹アイムファシリティーズ)
 FM のミッションは、人も組織も社会も幸福にすることである。この理念には、SDGs への積極的な参加や「誰一人として取り残さない」という誓いが含まれている。変化する外部環境に適応するためには、その変化がチャンスか脅威かを見極め、チャンスを捉え、その先を見据えることが不可欠である。
 当社はBM 業において「施設管理」を通じて、「安全・安心・快適な環境」を提供してきた。FM における経営の重要性は増しており、その存在意義は「安全・安心・快適のその先に、まちの幸せを創り出す。」ことにある。事業継続のために「これまでにない価値を提供し続ける」ことを目指し、「まちの幸せを、ひとの力で。」というコーポレートメッセージに基づいて私たちは企業活動を行っている。
 私自身もFM の知見を深堀し、経験的知識の整理と不足分野の補完を目的として受験を決意した。『新・第四の経営基盤』と『公式ガイド ファシリティマネジメント』を業務と照らし合わせ、試験に向け熟読した。さらに試験対策講座を受講し、実務や最近の傾向を学び、Web 講座を繰り返し視聴することで知見を広げ、学科試験や論述試験に役立てた。この過程で点として存在していたさまざまな知識がつながる驚きと楽しさを感じた。また、人、組織、社会の目的を常に意識することの重要性やファシリティのあり方を多角的に検討する力の必要性を強く実感した。
 今後は「ひとの力、ひとつに。」を企業理念に掲げ、業務の垣根を超えたチーム連携を進める。目標管理と品質管理のPDCA サイクルを深化させ、新しい価値を生み出す持続可能な価値連鎖を構築する役割を果たすことを考えている。自己研鑽を怠らず、日々感謝と謙虚を忘れずにFM に貢献できる一員として精進していく所存である。

■ 時代の変化に対応したFMと弛まぬ自己研鑽

 大塚 俊雄(福岡県総務部)
 私は、これまで信託銀行や不動産コンサル企業での勤務を経て福岡県庁に入庁した。前職までの経験もあってか現在の部署に最も長く配属され、これまで「定期借地方式等による県有財産の有効活用」、「公共施設等総合管理計画」等の業務に携わってきた。
 この試験を受験したきっかけは、日々の業務に取り組む中、「脱炭素等の環境対応」、「働き方改革」、「ICT 活用」、「ダイバーシティ」など社会情勢の変化に伴うFM 業務における新たな視点の必要性や、施設管理に関する技術的な知識の不足を感じており、それらを総合して理論的・体系的に学ぶことができないかと以前から考えていたところ、この試験の存在を知り、受験を決意した。
 受験にあたっては、テキストを一読した後(自分にとっては膨大な量と感じた)、過去問演習を中心に行ったが、正答分も含め知識があいまいな個所は全てテキストやその他の媒体も活用して内容を確認し、それを自分なりの資料集としてまとめていった。その間に少しずつ論文問題を解く練習も行い、試験に備えた。
 人口や自然環境の変動、テクノロジーの進展など、われわれを取り巻く情勢が目まぐるしく変化する昨今、行政や企業の経営活動におけるファシリティの運用や捉え方も、基本を大切にしながらも単なる前例踏襲ではなく、新しい視点や考え方が求められていると感じている。今回の試験合格を新たなスタートとして今後も常に考え、自己研鑽しながら自らの職務を果たしていきたい。