2020.12.17. JFMA賞事務局

第15回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞) 入賞発表

※パネル資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。


(敬称略)
表彰 応募タイトル 選考対象
FM実践組織・個人
サービス提供者
優秀FM賞 【最優秀FM賞(鵜澤賞)】
聖路加国際病院・聖路加国際大学のファシリティマネジメント実践
(東京都中央区)
学校法人 聖路加国際大学 ・(株)NTTファシリティーズ
【特別賞】
教職協働で学生を育てる、
大学における新しいワークプレイス
(山口県下関市)
学校法人 梅光学院 ・(株)小堀哲夫建築設計事務所
・清水建設(株)
・(株)インターオフィス
・西日本電信電話(株)
・(株)ハイエレコン
物流倉庫のメガプレートオフィスと成長するオフィスの取組み
(東京都大田区)
株式会社 梓設計 ・ソフトバンク(株)
・(株)ウフル
・(株)Phone Appli
・(株)JVCケンウッド
資生堂のワークプレイス戦略とFM部門の使命
〜ワークスタイルコンセプトを実現する取組〜
(東京都港区 他)
株式会社 資生堂 ・ジョーンズラングラサール(株)
ニューノーマルに向けた
分散型イノベーションオフィス
(東京都文京区 他)
NECネッツエスアイ 株式会社  


国内におけるFMに関する研究・教育活動及び海外への発信
加藤 彰一
(三重大学大学院)
 


小規模自治体における
公共施設マネジメント
(ふじさとモデル)
(秋田県山本郡藤里町)
秋田県藤里町 ・サウスフィールド・マネジメント(株)
・東京芸術大学
 教授 ヨコミゾマコト
・(株)KENアソシエイト


■優秀ファシリティマネジメント賞 受賞は、5件である。

最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞): 学校法人 聖路加国際大学
( 聖路加国際病院・聖路加国際大学のファシリティマネジメント実践 )

01優秀FM賞(鵜澤賞)

 聖路加国際病院は第3回(2009年)優秀FM賞を受賞している。今回はグループ母体である学校法人の応募で、同病院を含む応募となっている。先の受賞時点からの変化は、(1)施設対象が病院だけでなく、大学など保有・使用する主要建物に広がっていること。(2)FM推進体制を再構築し、内部リソース中心から、外部へのアウトソーシング体制を含むものへと改革したこと。(3)データ把握にもとづく効果的・効率的な品質・財務・供給の目標管理が進展していること、などがあげられる。2017年から新体制で稼働しており、3年経過している。2015年度以降より取り組んでいる劣化診断などによるFMデータベースの再構築から始め、総合的な活動につなげている。経営陣の強力なリーダーシップのもと、FM担当者のモチベーションも非常に高く、わかりやすい言葉での院内への情報発信により施策の浸透が図られるなど、実施されているFMの質も大変優れたものである。新型コロナによる医療体制転換の緊急支援でも、こうしたFMの体制が活かされている。
 

優秀ファシリティマネジメント賞(特別賞): 学校法人 梅光学院
( 教職協働で学生を育てる、大学における新しいワークプレイス )

02優秀FM賞

 大学のキャンパス、その核となるファシリティCROSSLIGHTを場とした学生・教職員の織りなす生き生きとした活動をFMの経営活動ととらえる応募事例である。梅光学院大学は1872年創立、わが国で6番目に古いミッションスクールの流れを汲む。2学部2学科で、学生数は1,332名、教員数46名という小規模ながら世界大学ランキング日本版で「国際性 第1位」(中四国エリア)獲得など、特徴ある大学教育機関といえる。核となるファシリティCROSSLIGHTは、廊下・教室の境をもたないオープンな講義スペース、フリーアドレスの教職員一体のオープンオフィス、外部にも開かれたカフェレストラン、学生(アルバイト)も加わるワンストップサービスエリア、オープンライブラリー、学生・教職員が自由に居場所を選択できるなど、すべてが「アクティブ・ラーニングの場」となっている。非常にチャレンジングな教育改革の取り組みといえる。CROSSLIGHTの稼働は2019年4月で、まだ1年半の実績だが、要求条件整理等、準備期間の3年間で練り上げてきた観があり、施設とその運営方法の改善も継続している。入学志願者、学生数の増加など、経営への効果も表れている。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 株式会社 梓設計
( 物流倉庫のメガプレートオフィスと成長するオフィスの取組み )

03優秀FM賞

 大手組織設計事務所が自社のFMに取り組んでいる事例の応募である。2019年8月の移転後、継続して執務環境の分析調査を行い、さらなる改善に努めている。FMの体制も移転プロジェクトチームからフォローアップ委員会、1年後のグローアップ委員会へと体制を整え、持続的な発展を期している。企画・計画時点から竣工後の運営維持まで、主要メンバーが一貫して委員会に加わり、FMに携わっている点もよい。新しいワークプレイスは、分散オフィスを統合して物流倉庫の5,300uのメガフロアに集約したもので、1人あたり面積は1.4倍に増加している。オフィスコンシェルジュ(自社スタッフ)、カフェテリアの新設などのセンターオフィスの充実のほか、ノートPC・iPad配布、サテライトオフィスなどテレワークにも対応している。WELL認証も取得して食を含めた社員の健康にも配慮し、執務環境のセンサーによる測定などIoTを意識したデータ収集の取り組みもある。物流施設地区にあるので、通勤の便は劣るが、それをカバーする魅力を備えるように経営陣と一体となり運営している点は好感がもてる。BIM-FMは開発途上だが、来年中にはVer.1が実稼働する予定である。今後の継続的発展にも期待したい。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 株式会社 資生堂
( 資生堂のワークプレイス戦略とFM部門の使命 〜ワークスタイルコンセプトを実現する取組〜 )

04優秀FM賞

 大企業の総合的なFMへの取り組み事例の応募である。統括的なFMを推進するFM部は32名を擁し、多面的な業務に取り組んでいる。2017年から各地のオフィスリノベーションに取り組み、2019年にはFM部へと体制・内容ともに拡充された。そして、資生堂ジャパン本社(SJHQ)オフィスの構築、汐留のグローバル本社(GHQ)のリノベーションという大プロジェクトに取り組んだ。オフィスのリノベーションではすべてABW対応のワークプレイスとするなど、意欲的である。FM部の業務は多岐にわたり、レコードマネジメントによる文書電子化と収納の削減、オフィスコンシェルジュ導入と運営、グローバルなセキュリティ体制構築、委託業務の改善。コスト削減を図る戦略的アウトソーシングなど幅広い。現在は、まだ一部が工事を残しており、利用実績期間も短いが、経営トップの人材第一の強い決意のもと、スピード感をもって総合的に取り組んでいる姿勢は評価できる。FM部門のモチベーションも高い。国内施設の戦略的再配置、工場や研究施設への拡充、海外拠点の体制改革なども視野に入れた活動を進める予定で、今後の発展にも期待したい。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: NECネッツエスアイ 株式会社
( ニューノーマルに向けた分散型イノベーションオフィス )

05優秀FM賞

 2015年に第9回奨励賞を受賞した同社の継続的な働き方改革とワークプレイス改革事例の再応募である。今回の応募は、2019年からの分散型の新しいワークスタイル創造への挑戦が主題である。前回受賞時からの発展は、経営トップの「人材第一」の強い意思がFMに反映しており、ワークプレイスの品質向上につながっている点である。ホームオフィスを含めて、分散しているワークプレイスを常時オンライン接続して、「顔が見える」コミュニケーションに努めている。社長室も常時接続しており、経営トップの思いが反映されている。日本のITサービスプロバイダーとして、自社の働き方改革、ワークプレイス改革に意欲的である点、それがワークプレイスの質向上につながっている点は評価できる。FMの推進体制はプロジェクトチーム優先のもので、継続性、責任と権限の所在に懸念があるが、全員参加的な取り組みは評価できる。
 

■技術賞 受賞は、該当なし。

■功績賞 受賞は、1件である。

功績賞: 加藤 彰一 ( 三重大学大学院 )
( 国内におけるFMに関する研究・教育活動及び海外への発信 )

06優秀FM賞

 1980年代後半からのFM活動、特に2007年の教授赴任以来、三重大学における10数年にわたるFMに関する学部・大学院での教育と、FM関連の研究テーマの調査・分析などの業績、ならびに国内外の情報発信についての応募である。大学・大学院における、10年以上にわたるFM教育の実践は、FMを普及し、継承する世代を育てる意味から、賞賛に値する。FMの調査・分析では、国内の医療福祉施設を対象としたものが中心で、具体的であり、実際の施設計画・改善に応用されているものもある。調査・研究の論稿発表は241編におよぶ。海外のFMへの影響については本賞の評価対象ではないが、同内容の論文が国内で発表されている。調査の多くは実際の事例を対象とするもので、施設の改善にも活用されていることから、施設の発注者・利用者および計画の専門家にもよい影響を与えているものと推察される。総じてFMの発展に寄与する優れた功績といえる。
 

■奨励賞 受賞は、1件である。

奨励賞: 秋田県藤里町
( 小規模自治体における公共施設マネジメント(ふじさとモデル))

07優秀FM賞

 人口3,100人、自治体職員74人という小規模地方自治体での公共FMの取り組み事例の応募である。同町は、秋田県の北部、青森県との県境の白神山地を含む地域にある。同町の公共FMの特徴は、職員自らが公共FMに取り組める仕組みを創設し、実行している点にある。庁内に建築・土木関係の技術者も不在で、職員数も少数、予算も小規模という条件などを考慮して、初年度は外部の専門家と協働し、後は自前中心の公共FMの仕組みを構築し実行している。取り組みはFMの基本を意識したもので、データの収集と蓄積、職員による施設点検が可能なマニュアル整備、予算を含めた全庁的な意思決定の場としての係長クラスが全員参加の公共施設マネジメント会議の運営など、小規模地方自治体に適したFMの仕組みが実行されている。公共施設等総合管理計画、個別施設計画は策定済であるが、まちづくりとの連携や全体最適化の実績が見えてくるのはこれからである。今後の総合的かつ継続的なFMの展開を期待したい。

2020年12月17日 審査委員会 委員長 北川 正恭

 

(参 考)

1.日本ファシリティマネジメント大賞の概要

JFMA賞

1)目 的:
FMに関する優れた業績等を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資することを目的とする。

2)表彰の種類:
(1)優秀ファシリティマネジメント賞
 (FMの手法を取入れ優れた成果を上げている活動)
 このうち特に優れた活動を「最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)」とする
 該当なしの場合もある【公募】
(2)技術賞(FMに関する、新しい手法・技術の取組み)【公募】
(3)功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他の活動)【公募】

※以上の応募の中から、特別賞、奨励賞の表彰を行う場合があります
(4)特別賞
 (FMに関する優れた成果をあげ、特別に表彰すべきと認められる活動等)
(5)奨励賞
 (優秀ファシリティマネジメント賞、技術賞または功績賞に準じ、今後の発展が期待される活動等)

3)エントリー期間 : 2020年8月1日〜8月31日
4)応 募 期間 :  2020年8月1日〜9月30日

5)審査委員会委員(委員以下五十音順、敬称略):

委 員 長 北川 正恭 (早稲田大学 名誉教授)
副委員長 深尾 精一 (東京都立大学 名誉教授)
  安達 功 (株式会社日経BP 執行役員 日経BP総研所長)
  鎌田 元康 (東京大学 名誉教授)
  斎藤 秀幸 (経済産業省 製造産業局 生活製品課 企画官)
  下野 博史 (国土交通省大臣官房 官庁営繕部長)
  長澤 泰 (東京大学 名誉教授・工学院大学 名誉教授 特任教授)
  村田 博文 (株式会社財界研究所 代表取締役)
  米倉 誠一郎 (法政大学大学院 教授・一橋大学 名誉教授)
  成田 一郎 (公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会 専務理事)
尚、審査委員会の下にFMの実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。

2.応募状況と選考経緯
1)応募状況: 優秀ファシリティマネジメント賞9件、技術賞0件、功績賞3件  計12件

2)選考経緯:
 各専門委員が応募書類を精査し、各応募案件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀ファシリティマネジメント賞については7件、功績賞については1件を現地調査・ヒアリング対象に選定した。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選定することを決めた。
 現地調査・ヒアリングの結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会にて報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果をJFMA 山田会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定した。
 優秀ファシリティマネジメント賞応募9件のうち5件が優秀ファシリティマネジメント賞受賞、その中の「学校法人 聖路加国際大学」は最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)、「学校法人 梅光学院」は優秀ファシリティマネジメント賞(特別賞)に選ばれた。また、1件は奨励賞受賞となった。
 功績賞応募3件のうち1件が功績賞受賞となった。
 2020年12月17日、JFMA会議室において入賞者発表会を開催。


山田会長 挨拶

北川委員長 結果発表
報道発表の様子 (2020年12月17日(木)13:30〜 JFMAにて実施) 
 

 

3.事例発表 のお知らせ
第15回日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメント フォーラム2021)【Web配信】
 【優秀FM賞受賞者による事例発表( ライブ配信 )】
  日時:2月18日(木)10:00〜17:00 
 




(参考)過去の受賞者

昨年までに行われた日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、以下をご参照ください。
JFMA賞 受賞一覧 (第1回〜第14回)(920KB)
 

第15回JFMA賞受賞集
第15回 JFMA賞 受賞集
(2021年)
第14回JFMA賞受賞集
第14回 JFMA賞 受賞集
(2020年)
第13回JFMA賞受賞集
第13回 JFMA賞 受賞集
(2019年)
第12回JFMA賞受賞集
第12回 JFMA賞 受賞集
(2018年)
第11回JFMA賞受賞集
第11回 JFMA賞 受賞集
(2017年)
第10回JFMA賞受賞集
第10回 JFMA賞 受賞集
(2016年)
   

JFMA賞 受賞集 Vol.7 (第1回〜第11回)(約8MB)
 
第14回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第13回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第12回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第11回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第10回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 9回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 8回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 7回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 6回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 5回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 4回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 3回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 2回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第 1回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)

 

お問い合せ

JFMA賞に関するお問い合わせは、下記までお願いします。

JFMA賞 事務局 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)
   担 当  白須
 〒103-0007東京都中央区日本橋浜町2−13−6 浜町ビル6F
 TEL:03−6912−1177 FAX:03−6912−1178
 E-mail: award@jfma.or.jp