第3回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)入賞 発表!!



優秀FM賞受賞物件は、時代の変化に応じ変革してきたIT企業、FM実践のモデルといえる大病院2件と見事なUDの眼科病院、適切なLCM実施の市役所、働き方も変革した建設業支店と、今回もバラエティに富む。
                       審査委員長 沖塩荘一郎



1.JFMA賞の概要
目 的: FMに関する優れた業績及び功績のあった組織と個人を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資する。
(1)表彰の種類
  日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
  @優秀ファシリティマネジメント賞(FM手法を取り入れ、優れた成果を上げている活動)(公募)
  A技術賞(FMに関する新しい手法・技術の取り組み)(公募)
  B功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他)(公募)
  C奨励賞 (非公募)
(2)第3回JFMA賞募集期間
  2008年7月10日〜10月17日
(3)第3回JFMA賞審査委員会委員(委員長以下五十音順、敬称略)
  沖塩 荘一郎 (委員長、東京理科大学名誉教授)
  石福 昭 (社団法人建築設備綜合協会名誉会長)
  北川 正恭 (早稲田大学大学院教授)
  高辻 育史 (経済産業省製造産業局日用品室長)
  土屋 博 (JFMA専務理事)
  平島 寛 (日経BP社建設局長)
  藤田 伊織 (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)
  村田 博文 (株式会社財界研究所代表取締役)
  柳澤 忠 (名古屋大学名誉教授)
  米倉 誠一郎 (一橋大学大学院教授)
 尚、審査委員会の下にFM実践の実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。

2.第3回JFMA賞応募状況と選考経緯
応募状況: 優秀FM賞10件、技術賞3件、功績賞3件
選考経緯: 各専門委員が応募書類を精査し、各応募物件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀FM賞については8件、技術賞については2件を現地審査対象に選んだ。また奨励賞は応募物件の中から選ぶことも決めた。
 現地審査とプレゼンテーションの結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会で報告を行った。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定した。その後その結果をJFMA鵜澤会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定し、1月22日JFMA会議室において入賞者発表会を開催した。


3.審査に当たって特に印象に残ったこと
 今回の優秀FM賞の応募は、当初の10件中2件が途中辞退され少なかったが、いずれも優れたFMの実践事例であり、少数激戦の様相を呈した。受賞した病院3件中2件は、FM対応でわが国最高峰の大病院、もう一つの眼科病院は見事なユニバーサルデザインに特徴がある。地方自治体のFM取組み事例の武蔵野市は、特に事後保全を計画保全に切り替え適切な保全予算確保が見事。大成札幌ビルは、省エネなど建築的に新しい試みをしているだけでなく、働き方も変えているところが見事。
 最優秀賞(鵜澤賞)を受賞した日本IBM箱崎事業所については、竣工後20年間時代の変化に対応してスパイラルアップさせてきたFM実践が高く評価された。
 技術賞受賞のT−PALETは、環境心理学を活用した施設ニーズ把握のFM技法として評価された。
 功績賞については、公共施設のFMをテーマにした学位論文と、熊本大学の長年にわたるFMの教育研究が評価された。



受賞者による事例発表とJFMA賞授賞式は、2009年2月9日(月)に日本ファシリティマネジメント大会(JFMA FORUM2009)にて行いました。
 

※パネル資料、講演資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。


(敬称略)
項目 表彰対象 受賞者 受賞物件の特長




最優秀賞(鵜澤賞) 日本アイ・ビー・エム (株)
・竣工以来20年間の同社箱崎事業所における、時代の変化に応じワークプレイスを変革してきたFM実践の好例である。
・FM推進体制は経営と連携して確固し、近年のオンデマンドワークスタイルは、ソリューション型営業人材の働き方を改革する新規性もある。
・世界初の大規模で本格的なフリーアドレスオフィスが、着実に変革を遂げておりFMの先進的事例として十分な資格がある。
 
1989年竣工の
IBM箱崎事業所における 
ワークプレイス構築の変遷
 
  
NTT東日本関東病院
FM業務の実践
 
  
東日本電信電話(株)
関東病院
(NTT東日本関東病院) 

・600床を超える高度医療の総合大病院での事例である。
・2000年竣工の新病棟の計画時点からFMを考慮しており、PDCAサイクルを回す活動がされ、継続的改善が行っている。
・FM推進体制は、専任の技術者と病院経営陣とが一体となっており、定期的に評価・改善に取り組んでいる。
・省エネルギー、ファシリティコスト削減も継続している。
 
視機能に障害のある
患者を迎えるための
眼科専門病院の取組
 
  
医療法人社団済安堂
井上眼科病院

・経営層により、円滑に実行された眼科専門病院の施設改善を中心とする事例である。
・1000人/日の外来患者を診療するために、外来診療機能を1カ所に統合、従来の病院棟を入院・手術中心に機能を分化した。
・視覚障害のある患者が認識しやすい施設づくりとして、施設内、駅から病院までのアクセス等さまざまな独自の工夫をしたユニバーサルデザインを導入している。
 
聖路加国際病院における
戦略的FMの実践 
 
  
聖路加国際病院
・1901年の創立当初から、患者中心の医療の提供で知られる医療施設のFM実践事例である。
・1992年竣工の新病棟計画時点からFMが考慮されており、全室個室の病棟、LDR、災害時に対応する施設計画などPOE実施の成果が盛り込まれている。
・経営陣が中心となりファシリティマネジャーと連携したFMの推進体制も設環境整備課を中心に整い、確実な施設経営をしている。
 
大成札幌ビルにおける
ファシリティマネジメント
とその展開 
 
  
大成建設 (株)
・自社開発のFM技術、FM推進体制等のノウハウを自社の支店オフィス改革に活用した事例である。
・顧客に提供するサービスを自社のオフィスに適切に活用して自社の経営改革に貢献、改革がワークスタイルにまで徹底、方策にトップダウンとボトムアップが両立している点等が評価できる。
・2006年6月の竣工後、運営維持は、リフレッシュエリア等で継続的に円滑に改善を行い、支店数店へ適用展開し働く人の意識変革を図っている。
 
武蔵野市における
公共施設保全整備計画 
 
  
武蔵野市
・地方自治体における既存施設の長寿命化と適切なライフサイクルマネジメントで、FMを活用している好例といえる。
・計画保全導入に当たって建物診断、長期修繕計画作成、施設管理システム開発、保全予算の評価指標FCIの導入等、FMの手法を活用している点も高く評価できる。
・FMの体制も、「保全整備計画」を庁内的に確立した。計画保全が予定通りに実施されている。
 


階層的個別インタビュー手法
「T-PALET」の開発と展開
 

 
大成建設 (株)
・POE調査の手法として、FMの施設ニーズ把握に活用しているものである。
・環境心理学分野で開発された評価グリッド法を基本理論として、独自にFMの施設プログラミングに活用できるように発展させ、日本で独自に発展されたFM技術として評価できる。
・ヒアリング対象者の問題点や希望を抽出し、その結果を施設に対する考え・現状及び理由・改善のヒントにまとめる。
 


公共建築における 
戦略的な施設投資の
ための基礎的研究
(学位論文)
 
  
東京都 財務局
技術管理担当部長
山本 康友 

・東京都が有する公共建築に関する膨大なデータをもとに、分析をした博士論文である。
・多くの自治体で公共建物のストックのデータが不備であるが、東京都は、営繕担当部署が統括的に建設し、維持保全に注力しておりデータが揃っている。
・本研究は、そのデータを分析したもので、建物ストック・公共施設投資の状況を把握し施設投資計画を検討する。
 
ファシリティマネジメントの
実践的教育・研究に
関する一連の取組
 

 
熊本大学大学院
自然科学研究科
環境共生工学専攻
人間環境計画学講座
位寄・大西研究室

・熊本大学におけるFM研究を活用した実践的FM教育と、大学キャンパスのFMに展開する研究・教育の業績とFM実践への活用である。
・FM研究は約15年間、FMに関する教育は1998年から10年間継続している。
・大学キャンパスのFM推進では、に教授、施設、財務関係者が参加して、計画を立案、決定する体制を整備している。
 


ソニー株式会社における
本社オフィスの構築を中心とするFMの実践
 
ソニー (株)
・同社では、1990年頃よりFMの推進を図り、経営方針と連携するFM活動を進めている。
・経営方針を具現化する施設として、品川大崎周辺に分散していたオフィスを集約し、大フロア施設とした。
・ファシリティにより求心力、社員交流・コミュニケーション活性化、自社製品の有効活用等を実現し、集約化によりファシリティコストを削減している。
 
大広(だいこう)
東京本社新オフィス
 

 
(株) 大広
・新しいワークプレイス構築の事例である。
・床面積を17%削減の制約条件下で、フリーアドレスを含めた新しいワークプレイスにより、コミュニケーション、情報共有を進展させている。
・知的生産を考慮した多様なワークプレイスをセッティングする等パイロット試行の意欲的な面がある。
 
建物110番システムの
構築と運用
 

 
(株) NTTファシリティーズ
・建物などの不具合対応を行うヘルプデスクサービスのために開発され、活用されているシステムである。
・電話での受付時に入力され、それを対応すべき担当者が確認し、処置をし、完了処理を行うという一連のワークフローが管理できる。
 
複合商業施設における
複合ゴミのエネルギー資産化
システムの開発と
環境問題解決への貢献
 

 
(株) ジェイアール東日本
都市開発

・各建物で発生する廃棄物をなるべく現地で処理する廃棄物対策技術である。
・生ゴミ、紙ゴミ、廃プラスチックを処理対象に低温処理し、廃棄物の80%程度が代替エネルギー化され、サーマルリサイクルによりCO2削減に貢献することができる。
 
九州ファシリティマネジメント
協会活動6年の歩み
 

 
九州
ファシリティマネジメント協会

・九州におけるFMの普及と推進を図る活動を展開している団体の功績である。
・2002年の設立以来、セミナー、施設見学会、ファシリティマネジャー資格試験対策講座等の活動、ファシリティマネジャー資格試験を九州試験会場で行う等FMの普及・啓発での貢献は大きい。
 

※パネル資料、講演資料の利用には、閲覧のみ可能のもの、印刷物は内部利用に限るものと、制限を設定しています。複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。





募集要項

募集要項 [doc]



(参考)過去のファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者

昨年までに行われたファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)の受賞者の概要は、
以下をご参照ください。
第1回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
第2回ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)