2022.12.13. JFMA賞事務局

第17回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞) 入賞発表

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 複写、印刷物等を対外的にご利用を希望される場合は、JFMAまでご一報ください。

(敬称略)
表彰 応募タイトル 選考対象
FM実践組織・個人
サービス提供者
優秀FM賞 第一生命のファシリティ活用を通じた
社会価値創造取組の推進
第一生命保険株式会社  
みんなとみらいのオープンイノベーション
に向けたFMの取組み
株式会社村田製作所 ・高砂熱学工業(株)
・TMES(株)
本社移転による
「DX活用のFMオフィス」づくり
イオンディライト株式会社  


地域と共創し、革新的な人財を育成する
学び舎 コトクリエ
大和ハウス工業株式会社 ・(株)フジタ
・大和ハウスリアルティマネジメント(株)
・フジタビルメンテナンス(株)
帰還困難区域の旧小学校を活用した
インキュベーション施設の構築
福島県大熊町 ・ビジネスゲートウェイ(株)
・(株)楠山設計
・常磐開発(株)
・(株)ユアテック
・(株)双葉事務器


修理系モデルによる空調設備保全計画
に関する研究(博士論文)
久保井 大輔
(東京電力ホールディングス(株))
 


「従業員のためのオフィス」Wellbeingの追求
グリー株式会社 ・コクヨ(株)
・SIX ANTS(株)
・(株)TPO
・(株)ハイト・アンド・シーオー
負債から地域資産へ FM+PPPによる
持続可能な公共施設マネジメント
岡山県津山市  

 

■優秀ファシリティマネジメント賞 受賞は、3件である。

優秀ファシリティマネジメント賞: 第一生命保険 株式会社
( 第一生命のファシリティ活用を通じた社会価値創造取組の推進 )

01優秀FM賞

 同社のファシリティ活用を通じた 2018 年から 2022 年度を中心とした FM 活動の応募である。 FM 活動を「社会価値創造の取組み」として捉えるなど、SDGsへの取組みと連係させている。活動は多岐にわたり、保有不動産への保育所誘致による待機児童数削減への貢献、 RE100 早期達成、専用施設による再エネ調達、自社施設活用のワーケーションなどによる地域活性化、働き方改革と連動する本社の大規模リノベーションなどがある。なかでも「地域住民の Well being を高めるまちづくり」を目指した「 SETAGAYA Qs Garden 」は、同社福利厚生グラウンドの再開発事業で、多様な社外パートナーと協業しながら地域住民目線の計画が実行されている。収益性と社会課題解決の両立を図る新たな価値創造の一環として自社ファシリティの活用を捉える視点、長期的な視点など、企業の先進性を感じる。と くに、 FM を切り口に企業や自治体をよりよく誘導するためのメディアとして、 FM 活動を社会価値向上につなげている点は高く評価できる。 FM の品質・財務・供給の目標と評価も適切にされており、継続的に改善されている。従業員が利用するワークプレイスの FM についても、本社のリノベーションは発展途上だが、 2010 年以降拠点の再配置とワークプレイスの改革に取り組み、旧拠点の資産売却、新拠点でのワークプレイス改革プロジェクトを進めている。 1902 年の創業以来、社会貢献重視の姿勢は、 FM 活動においても継続して多面的に発揮されて いるといえる。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: 株式会社 村田製作所
( みんなとみらいのオープンイノベーションに向けた FM の取組み )

02優秀FM賞

 電子部品を中心とするメーカーである同社の東日本最大の研究開発拠点(MMIC)におけるFMの取組みの応募である。施設の戦略、プロジェクト実行、運営維持については計画的、戦略的に進められている。低層階は社内外を含めた交流やオープンなコラボレーションの場を設けてあり、地域の子ども達が参加できる科学体験施設などがある。めざすものは@人を活かす・エンゲージメント向上、A地域を含めたブランディングの魅力度向上、B未来指向の運営維持と総合的であるが、それが達成されているレベルは運用開始後1年余りで、今後実績の積み上げが必要である。PDCAを回した、品質・財務・供給の評価指標の継続的測定と改善というFM体制の充実が望まれる。IoT活用は運営維持業務のDXが中心で、自社製のセンサーなど費用対効果を考慮した投資がされ、施設管理業務が効率化されている。ハード中心の製造業がFMに取組んでいることは歓迎すべきことである。ここでのFMの経験を蓄積し、全社的な水平展開へと発展すること、さらにワークプレイスと働き方の発展を期待したい。
 

優秀ファシリティマネジメント賞: イオンディライト 株式会社
( 本社移転による「 DX 活用の FM オフィス」づくり )

03優秀FM賞

 顧客へのFMサービス業務についてISO41001認証を取得している企業が、自社のFM活動について応募した事例である。現在は単体でのFM統括マネジメントを実現している段階で、グループを含めた連結の体制構築は次段階の目標としている。同社の「ビジョン2025」達成の一環として2021年8月に新本社に移転。3箇所に分散していた本社機能を統合化し、効率化と同時に働き方改革と連係するワークプレイス改善、省エネと施設長寿命化の課題対応、BCP対応など戦略施策を策定して実行している。新施設はFM情報発信基地兼実験場としても機能が与えられ、約1年間の稼働状況である。「WELL Health-Safety Rating」の取得、築50年以上のビルのリノベーションによる省エネと長寿命化、危機管理センターの代替機能付与など評価できる点がある。今後は、財務・品質・供給の継続的な評価による実績データを積み上げて、FM活動の成果を内外に広めてほしい。同社のビルメンテナンス事業の拠点として、実態に即した面は発揮されているが、FMサービス企業として、顧客の経営・経営戦略に関与する面での発展につながる活動も期待したい。
 

■特別賞 受賞は、2件である。

特別賞: 大和ハウス工業 株式会社 
( 地域と共創し、革新的な人財を育成する学び舎 コトクリエ )

04特別賞

 同社が2055年に創業100周年を迎えるに当たって、人財育成の場として設立した「みらい価値共創センター・コトクリエ」の施設計画と運用に関する応募である。2021年10月の利用開始なので、約1年間の稼働期間である。立地は奈良市の同社工場に隣接し、旧平城京の域内にある。延床面積は17,000u、研修室5室、宿泊室288室を擁する。研修プログラムは開始したばかりで、活用の成果は数年後の検証を待つ必要がある。ただし、環境負荷の軽減、ZEB Ready取得、RE100実現、室内環境の利用者による最適化、WELL Platinum取得、など施設整備はすぐれている。また、BIM-FMシステムによる運営維持の体制、LCMを実行する保全による長寿命化、BEMSによる使用エネルギーの見える化なども先進的である。建設投資に100億円、年間のファシリティコストは14億円という大プロジェクトで、人財育成にかける同社の姿勢が感じられる。全社的なFM推進体制はプロパティマネジメント(FMの運営維持業務)が中心で、今後、戦略的なFMへの発展を期待したい。
 

特別賞: 福島県大熊町 
( 帰還困難区域の旧小学校を活用したインキュベーション施設の構築 )

05特別賞

 東日本大震災と福島原発事故により、全町域が帰還困難区域となった福島県大熊町の復興(特定復興再生拠点)地域での、インキュベーション施設の構築と運営の応募である。旧大野小学校の建物を、劣化が著しい部分は減築し、残りの建物を必要最小限の改修により、インキュベーション施設として短期間で再生した。本施設の企画、設計、施工など、一連の業務主体は大熊町で、行政組織自らが担っている。改修費用も大熊町の自主財源(単費)によっている。開所は2022 年 7 月で、PDCA サイクルを回す目標管理は実践途上だが、すでに貸事務所で 6、シェアオフィスで30 のテナントが入居して活動している。入居テナントも、バイオマス発電、バイオテック、農業インターンシップによる人材育成、自動運転による公共交通サービスの実証・実験など多様な組織による復興事業への参加、地域創成への意欲が感じられる。FM 体制は統括マネジメントは大熊町が行い、施設運営はビジネスゲートウェイ社に委託している。同社が熱意をもって施設運営に当たっており、テナントの誘致などで、大熊町の担当職員と連係しながら、すぐれた成果をあげている。全国の市町村もいずれ公共サービスを外部委託する時代が来つつあり、よい見本ともいえる。町民の居住人口が震災前の約 12,000 人から 1,000 人までになるなど多大な困難があるなかで、ゼロからのまちづくりに際してインキュベーション事業を選択し、短期間で本施設を始動させた点に敬意を表したい。事業が開花するのはこれからだが、本施設のスタッフやテナントなど参加者が前向きで明るいことなどが、「場」の価値と存在感を高めている。
 

■功績賞 受賞は、1件である。

功績賞: 久保井 大輔(東京電力ホールディングス株式会社)
( 修理系モデルによる空調設備保全計画に関する研究(博士論文) )

06功績賞

 博士論文の応募である。本論文は信頼性理論における修理系モデルを用いて空調設備機器の不具合発生傾向を定量的に評価する解析方法を求めたもの。FMの普及・発展への貢献では、保全データを活用して、定量的に空調設備の更新周期を理論的に予測できる方法の1つを与えてくれるもので、FMの維持保全における長期、中期の保全計画作成に、今後活用できる可能性がある。ただし、本論文では解析に利用したデータが単独企業の使用する設備機器のものなので、今後、使用条件などが多様な機器の解析方法へと発展を期待したい。現在の保全計画では、更新周期の設定は過去の実績を中心にした経験的知見に基づくものが中心になっているが、将来、理論的に更新周期を求める方法を探る上で有効な視点を提供してくれるものであり、FMに有用な論文といえる。
 

■奨励賞 受賞は、2件である。

奨励賞: グリー 株式会社
( 「従業員のためのオフィス」 Wellbeingの追求 )

07奨励賞

 同社の2019年からの3年間のFM活動についての応募である。この時期に中期経営戦略により、「働き方の見直し」「コスト構造の改革」が掲げられた。これを受けてFM戦略は「働き方の再定義」「本社移転と供給面積見直し」「事業会社ごとの分散から事業セグメントごとの拠点集約」として、3年間で供給面積を大幅に縮小し、16.7億円/年のスペースコスト削減を実現した。働き方改革はハイブリッドワークに移行し、移転後の本社オフィスでは、ABW対応のワークプレイスへと変革している。同時にFM推進体制と業務を大きく改善して、従業員満足度向上につながるきめ細かな施策を実施している。品質・財務・供給の目標管理も改善して、評価を適切に行っている。またファシリティコストの削減だけではなく、資本的支出も従業員重視で執務スペースの改善に重点を置くなど、適切にマネジメントされている。同社は2018年に優秀FM賞に応募しているが、その状況から大幅に姿を変え、変化に対応するFMのメリットを感じる事例となった。総じて、FM推進体制とFM業務の再構築が大きく改善されている。

奨励賞: 岡山県津山市
( 負債から地域資産へ FM+PPPによる持続可能な公共施設マネジメント )

08奨励賞

 岡山県津山市の公共FMの活動に関する応募である。公共FMの活動は2015年より本格化しているが、その前年には公共施設白書を作成しており、早期に現状把握に着手している。同市のFMの特徴は、@施設データベースの整備、現状調査、総合管理計画などの計画・施策立案などをすべて内製化していること、AFM基金による施設保全の財源確保と保全と長寿命化の施策実行、BFM推進体制が建築系を統合した財産活用課でFMの業務管掌が確立していること、C公民連携を進め、コンセッション事業による既存施設の活用につなげていること、などがあげられる。人口減少に対応して施設面積の30%以上削減を目標としているが、実績値は2%程度減にとどまる。同時に既存施設の長寿命化、活用に注力している。中小規模の自治体として、限られた予算内でアイデアに富んだFM担当職員の地道で粘り強い、すぐれた活動がある。FM基金の活用も先進的である。FM情報を庁内で共有する「つやまFMだより」は月刊の発行で、継続することによりFM活動のエンジンといえる存在である。現在の活動は普通財産を中心としたものだが、今後は市の行政財産も含み、市全体としての最適化へと発展させてほしい。

2022年12月13日 審査委員会 委員長 北川 正恭

 

(参 考)

1.日本ファシリティマネジメント大賞の概要

JFMA賞

1)目 的:
FMに関する優れた業績等を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資することを目的とする。

2)表彰の種類:
(1)優秀ファシリティマネジメント賞
 (FMの手法を取入れ優れた成果を上げている活動)
 このうち特に優れた活動を「最優秀ファシリティマネジメント賞(鵜澤賞)」とする
 該当なしの場合もある【公募】
(2)技術賞(FMに関する、新しい手法・技術の取組み)【公募】
(3)功績賞(FMに関する優れた論文、出版、その他の活動)【公募】

※以上の応募の中から、特別賞、奨励賞の表彰を行う場合があります
(4)特別賞
 (FMに関する優れた成果をあげ、特別に表彰すべきと認められる活動等)
(5)奨励賞
 (優秀ファシリティマネジメント賞、技術賞または功績賞に準じ、今後の発展が期待される活動等)

3)エントリー期間 : 2022年7月1日〜7月31日
4)応 募 期 間 :   2022年7月1日〜8月31日

5)審査委員会委員(委員以下五十音順、敬称略):

委 員 長 北川 正恭 (早稲田大学 名誉教授)
副委員長 深尾 精一 (首都大学東京 名誉教授)
秋月 聡二郎 (国土交通省大臣官房 官庁営繕部長)
  安達 功 (株式会社日経BP 総合研究所 フェロー)
  鎌田 元康 (東京大学 名誉教授)
  島田 由香 (株式会社YeeY 共同創業者/代表取締役)
  塚本 裕之 (経済産業省 製造産業局 生活製品課 企画官)
  長澤 泰 (東京大学・工学院大学 名誉教授/
  一般財団法人ハピネスライフ財団 理事長)
  村田 博文 (株式会社財界研究所 代表取締役)
  米倉 誠一郎 (法政大学大学院 教授・一橋大学 名誉教授)
  成田 一郎 (公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会 専務理事)
尚、審査委員会の下にFMの実践者から構成された専門委員会を置き、審査委員会の補佐を行う。

2.応募状況と選考経緯
1)応募状況:優秀ファシリティマネジメント賞10件、技術賞0件、功績賞1件  計11件

2)選考経緯:
 各専門委員が応募書類を精査し、各応募案件にコメントと評点をつけ、専門委員会で議論修正した「専門委員会検討資料」と「応募書類」により審査委員会で討議し、優秀ファシリティマネジメント賞については7件、功績賞については1件を現地審査・ヒアリング審査対象に選定しました。また特別賞、奨励賞は応募案件の中から選定することを決定しました。
 現地審査・ヒアリング審査の結果を踏まえ、専門委員会で推薦対象案を作成、審査委員会にて報告を行いました。審査委員会では、各委員から活発な意見が飛び交い、最終的には全委員一致で各賞候補を決定しました。その後その結果をJFMA 山田会長に報告、了承を得て受賞案件を最終決定しました。
 優秀ファシリティマネジメント賞応募10件のうち3件が優秀ファシリティマネジメント賞受賞、2件は特別賞、2件は奨励賞受賞となりました。
 功績賞応募1件が功績賞受賞となりました。
 
 2022年12月13日、JFMA会議室において入賞者発表会を開催。


山田会長 挨拶

北川委員長 結果発表
報道発表の様子 (2022年12月13日(火)13:30〜 JFMAにて実施)

 

3.授賞式
【 第17回JFMA賞 授賞式】
 日 時:2023年2月16日(木) 13:30〜15:30
 会 場:お茶の水ソラシティカンファレンスセンター Terrace Room
 ※コロナ禍のため人数を制限して開催。

4.事例発表
第17回日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメント フォーラム2023)【Web配信】
【 JFMA賞受賞者による受賞講演( オンデマンド配信 )】
 オンデマンド配信期間:2023年2月20日(月)10:00 〜 3月13日(月)13:00 

 

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第15回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)
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   担 当  白須
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