持続可能な環境・循環型社会への挑戦 |
![]() 部会長:横山 健児 株式会社NTTアーバンソリューションズ 総合研究所 街づくりデザイン部 上席研究員 工学博士 |
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GX / サステナビリティ経営 / エネルギー政策 / カーボンクレジット / サーキュラーエコノミー / DX / 生物多様性 |
サマリー | 2025 年はGX 関連施策が大きく動き始める転換点であり、持続可能な環境・循環型社会への挑戦が始まっている。そこで当研究部会では、大きく分けて以下の3 つの視点で調査研究を実施している。@ GX 関連の政策動向、A持続可能なサステナビリティ経営、B個別のビジネス/ 技術開発動向。環境・循環型社会の実現には脱炭素とサーキュラーエコノミーを企業の中期的な価値に結び付け、国の経済成長に繋げる必要がある。このためにはステークホルダー間の連携、協力が不可欠である。 |
活動内容 | カーボンニュートラルや循環型社会が注目されるなか、環境、エネルギー、廃棄物、生物多様性問題とDX の活用に関する調査研究をマクロ的視点( 政策・技術) とミクロ的視点( 実務) の両面から実施する。
※定例会開催日程(原則) 第4火曜日17:00〜18:30、年10回 |
成 果 | 毎年研究成果をファシリティマネジメントフォーラムで発表し、ホームページに掲載する。
※研究成果の詳細を閲覧することが可能です: 「研究成果 他」の項目へ ![]() |
メンバー | 部会長:横山 健児(NTTアーバンソリューションズ総合研究所)
部会員:上田 里絵・大島 一夫・林 佳苗(NTTアーバンソリューションズ総合研究所) 榎本 一郎(新日本空調) 大 宣光(KENアソシエイト) 小木曽 清則(NPO埼玉マンション管理支援センター) 嶋津 祐美子(グローブシップ) 瀬尾 敬(オムロンエキスパートリンク) 棚町 正彦(清水建設) 成瀬 功(三菱地所設計) 沼 友和(三菱商事) 宮下 昌展(エムケイ興産) 事務局:白須 公子(JFMA) |
パリ協定に基づく2035年以降の温室効果ガス削減目標(NDC)の国連への提出期限が2025年2月に迫っており、環境省と経済産業省は2013年度比60%減を軸とする案を提示した。また、2024年11月の国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)では、数十億ドル規模の炭素市場を発足させることで合意している。
これらを受けて、政府は2024年内にGX2040ビジョン、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画の素案を提示する予定である。
そこで、2025年度は、まず政府が提出するGX2040ビジョン、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画の分析を行った上で、エネルギー環境保全分野を取り巻く動向調査を行う。さらに、2050年のカーボンニュートラルに向けた会員各社の活動や進捗状況について調査することも検討する。
エネルギー環境保全に関わる以下の調査研究を実施する。
【政策面】
・持続可能な開発目標(SDGs)
・カーボンニュートラル
・サーキュラーエコノミー
・データプラットフォーム
・生物多様性
・環境経営
・環境認証
【技術面】
・省エネ
・再生可能エネルギー
・水素
・CCS/CCU
・原子力
・蓄電池
・次世代燃料
・AI&ICT活用
【その他】
・JFMA会員等からの意見収集
・他研究部会とのエネルギー環境保全に関わる連携
・上記調査研究結果のフォーラム、ジャーナルでの発信
持続可能な開発目標(SDGs)、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、生物多様性等、環境・エネルギー分野は非常に注目され、これら取組の情報開示が企業価値における重要なファクターとなっている。
2024年度は特に環境経営に注目してエネルギー環境保全分野を取り巻く動向調査を行った。
現在、サステナビリティ経営は世界的に必須の状況にある。サステナビリティ経営とは、社会や環境への価値提供は経済的なリターンと矛盾しないという考えに基づいて「持続的な成長と中期的な企業価値向上」を実現する経営手法である。研究部会では、サステナビリティ経営の指標となるESG(環境、社会、ガバナンス)のなかで環境経営に焦点を当てて動向調査を実施した。また、関連する電源開発、企業活動、カーボンクレジット、木材利用に関する動向も調査した。
@環境経営
環境経営において開示すべき環境関連データは、ISO14001に準拠したマネジメントの実施、GHG排出量の削減と再エネの導入、廃棄物の抑制とリサイクル、生物多様性に関する取組みである。企業にはこれら項目をすべて管理し適切に処理するだけでなく、速やかな情報開示が求められている。この中で、2050年CN達成は特に重要で、3年以内には非上場企業も含めて義務化されると予想される。CO2を削減する手法としては、低CO2排出係数エネルギーの購入、省エネ機器と再エネの導入および業務プロセスの改善が考えられる。ただし、最終的に削減できないCO2は、カーボンクレジットでオフセットする必要がある。よって、企業には2050年までに、各種設備の導入、業務プロセスの見直し、カーボンクレジットの購入準備が求められる。
A電源開発、企業活動、カーボンクレジット、木材利用
各分野のトピックスは以下の通りであった。
・電源開発:加速性とアップサイクルが重要なキーワードである。
・企業活動:企画、開発から生産、販売まで一貫して環境問題に取り組んでいた。
・カーボンクレジット:グリーンウォッシュ企業として扱われないように信頼できるクレジットを購入すべきである。
・木材利用:森林は、若い木ほどCO2吸収量が多くなるため、森林整備を進め、木材を多く使用し、新たに植林することが重要である。また、CO2を貯蔵するため長く使用すべきである。
これら調査結果を取り纏めて、ファシリティマネジメント フォーラム2025で発表した。