カーボンニュートラルに向けた取り組みが加速する中、エネルギー政策、環境認証/規制、ZEB/ZEH、CO2クレジットの動向変化を中心に調査研究を行う。加えて、廃棄物問題とICTの活用に関する調査研究も継続する。
エネルギー環境保全に関わる以下の調査研究を実施する。
【政策面】
・カーボンニュートラルに向けた政策動向
・エネルギー政策の動向
・環境認証/規制に関する動向
・ZEB/ZEHに関する動向
・CO2クレジットに関する動向
【技術面】
・省エネ、再エネ、蓄電池技術の動向
・水素活用技術の動向
・CO2回収技術の動向
・廃棄物処理技術の動向
・都市OSの動向
【その他】
・他研究部会とのエネルギー環境保全に関わる連携
・JFMA会員等からの意見収集
・上記調査研究結果のフォーラム、公開セミナー、ジャーナルでの 発信、報告書作成
コロナ禍で不確実性が高まる中、経産省から「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2020.12.25)が公表された。これを踏まえて、革新的イノベーションを促進する長期的な環境政策・技術に関する調査研究を行う。
エネルギーと廃棄物問題の解決にはコスト負担が必要となる。しかしながら、本年度実施した事例調査から、ステークホルダーが協調することでそのコスト負担が最適化されることが明らかとなった。以下に得られた知見を示す。
1.エネルギー利用の効率化:
高効率機器への交換という時代は終わり、全体最適化が求められる。米国のエネルギー条例においても、建物を構成する要素が最低限持つべき基準Prescriptive Pathからベースラインに対して準拠すべきエネルギー使用量の基準を規定したPerformance based codesへ変化している。日本の建物設計においても空調設備と意匠設計を組み合わせて、快適性と省エネを両立させた事例が多くみられた。
2.クリーン電力の利用:
再生可能エネルギー拡大の課題であった系統制約の克服が進んでいる。既存系統を最大限に有効活用するため、設備の共有を拡大させた想定潮流の合理化やコネクト&マネージが開始された。また、地域間連系線の増強による再エネ拡大の便益は全国で発生することに着目し、その増強費用を全国で支える仕組みに変更された。
3.廃棄物問題:
廃プラスチック処理が脚光を浴びているが、再使用、再生利用があまり進んでいないのが現状である。今後、マテリアルリサイクルを最大限利用しつつ“混合プラ”や“不純物を含むプラスチック”などにも適用可能なケミカルリサイクルの推進が求められる。但し、ケミカルリサイクルはコスト増となるため、社会的コンセンサスを得る必要がある。