① 「講演ステージ」 :「特別講演」4講演を含む、全ての講演がご視聴できます
② 「スポンサーステージ」:68社のFM関連企業による事業紹介と情報交流の場を提供します
◆ファシリティマネジメント フォーラム2024 パンフレット: ダウンロード
※ 講演者、講演タイトル・講演内容など都合により変更になる場合がございます。ご了解ください。
【特別講演】 ※ リスト表のマスをクリックしていただくと概要がご覧いただけます
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イノベーション -知識創造理論- はやぶさ2
大薗 恵美 一橋ビジネススクール 国際企業戦略専攻 教授/専攻長
競争戦略論、組織学習理論、組織の自己革新、そして組織と戦略のダイナミズムが交わる場所としてのイノベーションなどの領域で活動されている大薗先生。
イノベーションという文脈において、ますますその重要性が高まっている知識創造理論。「はやぶさ2」という具体的なストーリーを通し、お話しいただきます。
企業が新しいことに挑戦する時、どのように取り組み、成果に結び付けていくのか。「はやぶさ2」には、知識のマネジメント、知識創造という面から多くの学びがあります。価値創造の源泉を意識すること、求められる学習に最適な組織をつくること、グレーゾーンに働きかけることの重要性など、組織活動やプロジェクトマネジメントにおける知見が満載です。是非ご視聴ください。
バリアバリュー ~障害を価値に変える~
垣内 俊哉 株式会社ミライロ 代表取締役社長
日本ユニバーサルマナー協会 代表理事/パラスポーツサポートセンター 顧問
私は幼少期から車いすに乗っています。父も、弟も、遡れば明治の先祖から脈々と受け継がれてきたものでした。歩けないことを卑屈に捉えていた時期もありましたが、歩けないから、障害があるからこそできることを見つけました。
社会には3つのバリアがあります。環境、意識、情報のバリアです。それらを解消し、障害(バリア)を価値(バリュー)に変えるべく、当社では障害のある社員らの視点を活かした事業を展開しています。
本講では、私が「バリアバリュー」という考え方に至った経緯や、これから私達が、社会が取り組むべきことを好事例とともにお伝えいたします。
絶対悲観主義
楠木 建 経営学者/一橋ビジネススクール PDS寄付講座 共創戦略 特任教授
GRITやレリジエンスはある種の呪縛だ。「うまくやろう」「成功しなければならない」という思い込みがある。だから、ちょっと思い通りにならないだけで、「困難」に直面し「逆境」にある気分になる。「うまくいく」という前提を持つからこそ、「うまくいかないのではないか」と心配や不安にとらわれる。こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどない――この元も子もない真実を直視さえしておけば、戦争や病気のような余程のことがない限り、困難も逆境もない。逆境がなければ挫折もない。成功の呪縛から自由になれば、目の前の仕事に気楽に取り組み、淡々とやり続けることができる。GRIT無用、レリジエンス不要――絶対悲観主義の構えについて論じる。
ファシリティマネジメントにおけるサステナブルデザインの可能性
ファラ・タライエ サステナビリティ専門 建築デザイナー/株式会社NewNorm Design 代表/Matinno創設者
現在、日本でも2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、エネルギー消費の削減、脱炭素化を進めています。建物には建設時に排出される二酸化炭素と、建設後の運用時に排出される二酸化炭素があり、環境や社会に配慮したサステナブルデザインとファシリティマネジメントを組み合わせることで、環境に優しく、かつ効率的な施設運営が可能になり、二酸化炭素排出量を削減することに貢献できます。このような取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。
「場」を変え、会社を変える、FMの力
豊田 健一 株式会社月刊総務 代表取締役社長
今、総務への注目が高まっている。働く場の多様化しかり、人的資本経営の側面からも、「場」の重要性が認識されている。「総務が変われば、会社が変わる」、言い換えれば、働く「場」を変えれば、従業員の働き方が変わり、結果、会社が変わるということ。
FMの力が、改めて、認識されているのである。働く「場」、オフィスはイコール、従業員の輝く舞台。本ウェビナーでは、舞台装置を司る総務、FMの可能性についてお話しします。
SDGs・ESGで変わるファシリティマネジメント
似内 志朗 ファシリティデザインラボ 代表
最近、SDGsに加え、ESG(Environment/Social/Governance)という言葉を聞かない日はありません。環境・社会・企業統治の諸課題への対応が、長期持続的な経済活動において必要不可欠となったのです。
このような時代にファシリティの在るべき姿はいかなるものか、JFMA調査研究委員会では、その理念を、「環境負荷の最小化」と「ウェルビーイングの最大化」というクリアな言葉で表し、企業が取るべきE課題(環境)とS課題(社会)の考え方を明確にして参りました。またサステナビリティ変革の時代にファシリティ戦略として考えるべき、リスクと機会、非財務価値と財務価値との関係性などについて論考を重ねてきました。昨年には調査研究委員会18研究部会による冊子発刊、オンラインシンポジウムの開催、ソウル大学でのKFMAシンポジウムなど、国内外で発表の機会を得ました。本フォーラムではそのエッセンスを紹介します。
市民起点のオープンイノベーションの場 フィンランドの最新事例から
齋藤 敦子 コクヨ株式会社 主幹研究員/一般社団法人Future Center Alliance Japan 理事
企業や地域の発展のために、これまでもイノベーションが重視されてきましたが、昨今、人々のウェルビーイングと地球の持続可能性のために、セクターを超えたオープンイノベーションが注目されています。企業がイノベーションセンターを設けるだけではなく、自治体や大学がハブとなって対話・共創の場をつくるのが世界のトレンドです。
フィンランドは世界で初めて炭素税を取り入れ、カーボンニュートラルで欧州を牽引していますが、その原点にあるのは国民のウェルビーイングです。未就学児から大人まで行き届いた教育、幸福度が世界No.1ということでも知られていますが、寒冷地かつ移民も多く、官民が協働して様々な仕組みを試行錯誤してきました。コロナや戦争などで世界が急変する中、市民起点のオープンイノベーションをより強化しているフィンランド。その最新事例を紹介しながら、日本との違いや、日本におけるオープンイノベーションのあり方を展望します。
AIで進化する省エネ手法 ~省エネ職人とAIの出会い~
伊東 大輔 株式会社アドダイス 代表取締役CEO
三輪 直樹 エス・ビー・エス株式会社 代表取締役社長
日本の建築の省エネは「乾いた雑巾」と言われ、削減の余地は少ないと言われてきました。しかし経験を積んだ省エネ職人の手に掛かれば、設備機器の運転効率化などで、相当に削減の余地が大きいことが分かってきました。ビルマネ業界の士農工商的な在り方により、「できるはずの省エネ」が放置されてきた一面もあります。日本全体を見れば想定される総削減コストは膨大です。
一方、スタートアップ企業、株式会社アドダイスによる空調機器等の制御は、これまでの人による画像監視・制御に替え、独自開発したAI技術であるSoLoMoN ®Technology(ソロモンテクノロジー)による制御とすることで、居住環境最適化と消費エネルギー最小化が可能となります。
本講演では、独自のAIによる空調制御の実績と今後の可能性に加え、省エネ職人による包括的エネルギーチューニングについて紹介します。あと6年しかない2030年CO2排出46%減を実現するためには、世の中の多くを占める既存ビル・既存設備の省エネが不可欠です。その画期的手法となると信じています。
協力者:池谷真澄(株式会社アドダイスMEO)、緑川道正(エス・ビー・エス株式会社顧問)
ISO/FMを清掃管理に活かす。 「性能発注」のすすめ。
吉廣 幸夫 日本カーペットクリーナーズアカデミー インストラクター
ビルを所有する企業で、総務部門に籍を置く方の業務にファシリティサービスの管理があるだろう。設備・清掃・警備をはじめとする各種サービスの調達にあたっては「お金」と「サービス品質」の課題があるが、本当にスッキリ納得できているのだろうか?ありがちなのが入札で下から二番目の価格を提示したという根拠をもって業者を選択する・・・果たしてそれは望ましい選択たりえるのか?疑問が残る。
今回の講演は企画者が最近出版した「性能発注のためのお役立ち読本」を引用しながら、主に清掃についてISO/FM41012を軸にビルオーナーが「性能発注」を仕掛け、「綺麗」と「お金」の課題をスッキリ解決する手法を解説しようとするものである。
FMの大学教育を考える
李 祥準 学校法人関東学院 建築・環境学部 准教授
現在、日本でのファシリティマネジメントは、重要な業務として社会に幅広く広がっています。
そのため、ファシリティマネジメントについての人材育成も重要ですが、大学での教育はほとんどないことが現状です。
オランダなどのヨーロッパでは、大学や専門機関が、ビジネス、経営、または不動産関連学位の一部としてファシリティマネジメントプログラムやコースを提供しております。
これらのプログラムは、組織内での施設の管理と最適化に必要なスキルと知識を学生に提供することを目的としています。
建築分野においてもファシリティマネジメントを知ることは重要であり、大学教育プログラムの中で実施することは社会のニーズ対応することにもつながります。ここでは、関東学院大学建築・環境学部で行っているファシリティマネジメントに関連する教育について紹介し、今後の方向性について検討します。
FM領域における企業の課題と信託銀行のソリューションについて
鈴木 雅士 三井住友信託銀行株式会社 不動産受託推進部 不動産ソリューション部 部長
多くの企業にとっては、不動産は資産の多くを占める経営になくてはならない経営基盤ではあるものの、不動産に対する情報管理、維持管理、有効活用の考え方、取組の深度は各社各様になっています。
一方で、建築・管理コストの上昇、脱炭素化、建物の長寿命化、株主からの売却圧力等、不動産を取り巻く課題は日々、課題が積み上がっていく状況とも言えます。
本講演では、そういった状況下での企業のFM領域における課題の共通点や傾向についてお話しすると共に、それに対する信託銀行のソリューションを実例を交えながら、解説いたします。
経営基盤を担う企業内FM部門の確立を目指して
下野 勝之 株式会社資生堂 ファシリティマネジメント部 部長
⼀般企業におけるFM 部⾨が、社内で経営基盤を⽀える柱の⼀つである部⾨として確⽴され、その使命を果たしていくためには、⾃部⾨の現状を踏まえたビジョンを策定し、同時にそれを実現可能とする組織ケイパビリティを確保していく必要があります。加えて、様々な経営環境変化に対して時機を逃さない取組みを通じて成果を挙げ、経営層からの信任を得ていくことが⼤切です。各社・団体で置かれている環境や課題も異なりますが、そこに共通すると考えられる取組みのポイントや、実際の弊社の組織変遷などを実例をまじえて紹介します。
マンションのFM 「二つの老い(建物と住民)」の問題はファシリティマネジャーが解決
志牟田 章 JFMAユーザー懇談会 世話人
マンションの「二つの老い(建物と住民)」の問題により、十分な維持管理ができなくなった古いマンションのことが、TV番組、新聞、週刊誌等が社会問題として頻繁に取り上げるようになった。
国は管理組合が主体的にマンションの管理を行うことを求めており、多くは管理会社任せになっているのが実態である。私の自宅マンションでも、築12年目の大規模修繕工事の計画が管理会社側から提案されたが、その中身は今後の財源となる積立金と建物品質の維持管理に問題が生じるものであった。
本来であれば、今年から工事が始まっている提案であったが、2年前にマンションに入居早々修繕委員会に参加することとなった私の提案が住民に理解され、ようやく財政の健全化と建物品質の維持向上に対する取り組みを開始することになった。
これまでの過程では、私が一人のファシリティマネジャーとしてオフィスのFMに取り組んだ経験が大いに役に立った。マンションの「二つの老い」の問題は、FMで解決できる課題であることをご報告する。
ファシリティマネジャーの世界
川村 裕 JFMA教育研修委員会委員長
普段は意識されないが、今立っている場所を見回すと目に入る物の殆どはファシリティであり、その全ては誰かにマネジされている。マネジメントとは単に物体を維持管理するのではなく、むしろそれを必要とする人々(ユーザー)の要求(ニーズ)に応えるべく、目的に応じた戦略を立て、ファシリティのデザインや建設を監理・実行し、完成後はその価値を最大限に引き出し利用者の生産性・満足度を高めるべくサービスを提供するという一気通貫の流れ全体を指揮するリーダーの役割を言う。
これから社会に出てくる学生の皆さんを主な対象として、現代社会におけるファシリティマネジメントの価値と重要性を紹介する。既に社会に出て実務を経験している皆さんにも改めてファシリティマネジメントとの関りを見つめなおしていただき、ファシリティマネジメントの正しい認識により利用者の生産性や満足度が改善されることを期待する。
日本でハイブリッドワークはどう定着するか?
石崎 真弓 株式会社ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員
長きにわたったコロナ禍とその収束により、日本企業の働き方およびオフィス需要はどう変化しているのでしょうか?“出社に戻った”という声が聞かれるなか、弊社調査の実態をみると、出社とテレワークを併用するハイブリッドワークを続ける企業が大多数おり、オフィス需要も堅調に推移しています。
一方で、依然出社率の運用やオフィス環境ほかワークプレイス施策運営に頭を悩ませている担当者の方も多いでしょう。東京オフィスマーケットの動向に加え、企業とオフィスワーカーの調査結果からみえる現状と課題を整理し、そして今後のハイブリッドワークのあり方日本版を考えるヒントをお伝えできればと思います。
【グローバルFMサミット2024】世界のリーダーによる各国のFMの状況
松岡 利昌
JFMA理事・フェロー
更新講習委員会委員長/教科書委員会委員長/ISO国際委員
欧州EuroFM 日本アンバサダー/日本オフィス学会会長
株式会社松岡総合研究所代表取締役/経営コンサルタント
新型コロナCOVID-19により、在宅勤務の利用など世界のFM事情は激変しました。2023年に入りCOVID-19は収束に向かいましが、世界のFMはコロナ前に戻らず、新しいFMの世界観が出現しています。今年のグローバルFMサミットでは、世界のFMの最新事情をグローバルに活躍するFMリーダーにより説明します。世界のFMをリードする米国の国際FM協会(IFMA)会長、欧州全体をネットワークするEuroFM会長、アジアから毎年登壇している韓国FM協会(IFMA)会長、並びに今後の成長が著しいアフリカのアフリカFM協会(AFMA)副会長でボツワナのEuroFMアンバサダーが登壇予定です。全体のまとめと日本の状況について、松岡利昌EuroFM 日本アンバサダーが説明します。
ポストコロナのFM事情をグローバルな視点で把握できるグローバルFMサミット、是非ご視聴下さい。英語については日本語の字幕付きです。
出でよFMベンチャー!
FM・不動産・建築に関連するアントレプレナーが語るすでに始まっている未来
板谷 敏正 プロパティデータバンク株式会社 代表取締役会長
長野 麻子 株式会社モリアゲ 代表
佐藤 海 株式会社Rebase 代表取締役CEO
前田 拓海 株式会社アクティブリテック 代表取締役
世界のビジネス業界においてはGAFAに代表されるベンチャー企業が業界を動かし世界を変革しつつあります。我が国においても同様で、様々な経営課題や社会的課題を解決するベンチャーの創出が業界をあるいは社会を変える転機になると考えます。
本パネルディスカッションではFM・不動産・建築などに関連する分野においてすでに起業し、事業を実践しているアントレプレナーにパネラーとして参加してもらい、それぞれの事業創造のプロセスや経営戦略について語ってもらいます。実践事例でもあるその内容は聴講された皆さんのビジネスや起業に大いに参考になると考えます。また、ファシリテーターは大手企業発社内ベンチャーを創業し、すでに東証上場を経験したJFMA理事・フェローが務めます。
パネリストとファシリテーターが語る”すでにはじまっている未来”を多くの皆さんにご紹介できればと考えております。
FM ISO/JISシンポジウム FM ISO/JIS認証取得企業に訊く2024
松岡 利昌 JFMA理事・フェロー/株式会社松岡総合研究所 代表取締役
荒尾 匡俊 東洋テックビルサービス株式会社 総務部部長
保田 展 CTCファシリティーズ株式会社 理事
昨年のFMフォーラム講演で好評を得た「FM ISO/JIS認証取得企業に訊く」についての続編です。2023年度にISO 41001/JIS Q 41001の認証を取得した2つの企業のFM JIS担当者に対し、認証取得に関わる様々なお話を伺います。最初に各社から企業概要や認証取得を実現する体制、認証を取得しようとした目的などについてお話しを頂きます。その後ファシリテーターから、認証取得までの苦労話、取得後の活用方法、経営面や人事面等にどのようなメリットをもたらしたのかなどを質問し、取得に関わる本音を語ってもらいます。パネリストは東洋テックビルサービス(株)とCTCファシリティーズ(株)の各FM JIS責任者、ファシリテーターはFM ISO国際委員の松岡利昌が行います。
FM ISO/JISの取得を検討している企業の方や企業にイノベーションの実現を検討している方などに必見です。どうぞご期待ください。
FM導入の価値と実現方法 -企業の現状とイノベーション提案-
川村 裕 JFMA教育研修委員会 委員長
野間 操 JFMA教育研修委員会 委員
山田 裕之 JFMA教育研修委員会 委員
1980年に米国で発祥し、1987年のJFMA創立とともに日本に紹介されたファシリティマネジメントはその後全ての日本企業に導入されただろうか?日本上陸後35年余りを経た現在、外資系企業では市民権を得て久しいが、日本企業においては未だに総務部の中でのファシリティマネジメント業務という位置づけが多い。
確かに戦略総務としての要素が浸透してきたことは評価に値するが、企業価値を創造するための従業員のワークプレイスの改善、エンゲージメントの向上、地球環境への貢献、そして、ファシリティのライフサイクル全体を統括して最適なコストでマネジするファシリティマネジャーの価値を理解してファシリティマネジメントを導入している企業の数は限られている。
今回は「公式ガイド・ファシリティマネジメント」を通して内容は広く知られているファシリティマネジメントの実践的な導入方法を、JFMA教育研修委員会がイノベーションとして提案する。
高専生と考える戦略的インフラマネジメント
中川 均 インフラマネジメント研究部会 部会長
岩佐 宏一 インフラマネジメント研究部会 副部会長
中澤 祥二 インフラテクコン審査委員 委員長
髙橋 修 インフラテクコン審査委員 副委員長
インフラテクコン グランプリチーム/準グランプリチーム
戦略的インフラマネジメントとは?インフラを大別すると、生活に欠かすことができない教育施設、医療施設等の社会インフラと経済活動に欠かすことができない、道路、河川、鉄道等の経済インフラが存在する。それらインフラは市民の生活や経済の発展により、より豊かになるために市民の税金を行政が活用することで現在の社会が形成されてきた。
しかしその循環(活用の仕方)が単一的方向であったため、インフラは行政が与えるモノとして、市民から身近なモノではない状況となった。
インフラマネジメントの戦略を考える上で、経営的視点による企画計画、管理、活用評価、措置改善によりインフラの価値創出や地方創生と関わりの深い、地域に根ざした戦略の検討が必要であるため、今後社会を担う学生と共に思案する機会を設けることとした。
FM進化論 ボーダレスに進化するファシリティマネジメント
板谷 敏正 JFMA・FM推進戦略委員長/早稲田大学客員教授
杼谷 学 徳島県神山町総務課 課長補佐/神山つなぐ公社 前代表理事
堀 雅木 第一生命保険株式会社 不動産部長
山本 真理子 株式会社パソナHR HUB 執行役員/株式会社All Japan Tourism Alliance 代表取締役社長
似内 志朗 JFMA・調査研究委員長/ファシリティデザインラボ 代表
FMは企業の第4の経営基盤を支える重要な経営活動として、また多くの建築ストックを抱える公共施設管理の切り札として全国各地に浸透してきました。さらに最近では民間企業が中心となった街づくり、あるいは民間企業と公共が連係した地域活性化や建築ストックの活用など、公共・民間の垣根を超えたボーダーレスの取り組みが活性化しています。
本シンポジウムではこれら公共と民間の境界領域で活躍する公民連携プロジェクトの最新事例を紹介します。
・四国から発信する新しいイノベーション
・企業によるSDGsに配慮した街づくり
・企業の地方移転による地域活性化
・パネルディスカッション、総括
*このプログラムは、2023年11月に開催、配信したシンポジウムを再配信するものです。
第18回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞) 総評
北川 正恭 JFMA賞審査委員長
早稲田大学名誉教授
日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)審査委員長の北川 正恭(きたがわまさやす)様より、第18回日本ファシリティマネジメント大賞の総評及び各受賞者への講評をお話しいただきます。
NTT西日本のFM戦略 ~新本社PJを通じた新たな挑戦~
西日本電信電話 株式会社
同社は、2008年と2014年、過去2回の応募・受賞がある。今回は、2022年1月移転の新本社ビルのプロジェクトを通じた新たなFM戦略の内容と実践に関する応募である。具体的には①本社機能の拠点集約化、②旧本社ビル跡地の活用による市街地環境の再整備と大阪城周辺エリア発展への貢献、③新本社エリアに共創施設(QUINTBRIDGE)を併設し、ビジネスの創出・開発・社会実装までが可能なエコシステムを形成、④コロナ禍後を見据えたニューノーマルなワークプレイス構築と働き方改革、社員のWell-being向上、⑤オフィスFM推進チーム組成によるFM継続とSDGsへの貢献、を掲げている。FMに関しては、①の本社拠点集約化と④の働き方改革と連動した新しいセンターオフィスのワークプレイス改革、③の新ビジネス創造の拠点構築と運営が中心である。拠点集約により2.6億円/年のキャッシュアウト削減などファシリティコストの削減を実現している。働き方改革との連動では、チェンジマネジメント実践、FMセンター設置、定量的な評価など総合的な施策を進めている。共創施設は他のイノベーションセンター施設と比べて、現時点で高く活用され、継続性も感じられた。同社の新ビジネス創成への強い意欲に裏付けされている。一方、本社のワークプレイスは働き方改革の途上にあり、働く場としての活用については課題が残されているが、総じて包括的な経営改革と連動して、本社オフィスの再配置、働き方改革と連動する新たなワークプレイス供給と運営など、総合的なFMの経営活動としての実践であると評価できる。
O³ (大阪おせっかいオフィス)いきたくなるオフィス
日建設計コンストラクション・マネジメント 株式会社
CM(コンストラクション・マネジメント)業務を中心としたマネジメントとコンサルティング企業の自社オフィスの改革に関する応募である。社内・社外に向けた実験的なパイロットプロジェクトと位置づけられている。①企業の働き方戦略をまず定める、②ワークプレイスはオフィスではなくエコシステムとなり、選択的に働く体験をする、③専任のコミュニティマネジャーの配置、④ワーカーのライフを徹底してサポートするパーソナルコンシュルジュサービスの導入など、多面的で総合的な検討と実行がされている。単なるオフィスの改革ではなく、社会や地域経済まで視野に入れ、築60年のビルでのリニューアルを選択するなど、経営課題についても包括的に検討されている。また、FM推進体制についても、プロジェクトチームがFM推進チームをサポートする体制とし、運営維持段階でも目標設定とKPI、評価方法を用意してPDCAサイクルを回す仕組みを構築している。稼働は2023年5月で、プロジェクトの評価と運用実績評価により、改革・発展を継続することが、今後の課題である。また、この大阪での改革をテコとして、東京と名古屋の拠点と働き方の改革・発展にも期待したい。
墨田区におけるファシリティマネジメントの取組み
東京都 墨田区
東京都墨田区の公共FM活動の応募である。同区のFMへの取り組みは、2006年に始まり、施設データベース整備と保全システムの導入を行った。そして、2013年度~2015年度では公共施設白書を策定し、公共施設等総合管理計画策定(2015年)へと発展させている。さらに2016年度~2020年度では、個別計画へと進めて第2次公共施設マネジメント実行計画を策定した。2021年度では第3次公共施設マネジメント実行計画を策定するとともに、2023年には営繕部門と統合してファシリティマネジメント担当部を創設し、体制の整備も行っている。建物の保全については、施設データベース、長期修繕計画をもとに計画的保全へと発展させ、与条件整理、設計、修繕工事へとサイクルを回す体制が整備された。また、公共施設等総合管理計画に基づき施設面積の15%削減の方針に沿って、現状では5.3万㎡の削減を達成している。さらに、旧中小企業センターの大規模改修による千葉大学墨田サテライトキャンパス誘致や旧すみだ健康ハウスの刷新、施設複合化による保健施設の新築など、多様なFMの施策が実行されている。歴史的には向島と本所の2エリアに分かれていた故の公共施設の重複や、敷地・建物規模が小型という地域特性の克服、残存不具合を含めた計画的修繕の企画など、今後の課題も残されているが、17年間にわたり公共FMを段階的に進めてきた担当者の地道な活動は評価に値する。引き続き、公共施設の再配置など、総合的なFM戦略の策定と実行により、さらなる発展を期待したい。
官民連携による公共空間の整備・運営のマネジメントに関する研究(博士論文)
東海林 伸篤
宮城大学大学院で取得した博士論文に関する応募である。本応募については官民連携、公共空間、公共性、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメントといった公共FMの分野でもなじみの深い内容である。また本研究で中心的に活用されている事例が、紫波町オガールプロジェクト(2016年最優秀FM賞受賞)であることで、テーマ、内容ともにFM分野に近いという特徴がある。FM分野での貢献性については、第7章地域活性化に資する公共空間の公共性、第8章地域活性化に資する官民連携事業のマネジメント手法を踏まえて第9章で展開されている「公共空間整備・運営マネジメントの5つの要点と10の視点」が、今後持続可能な官民連携事業を創出するうえで、そのプロセスを検討するヒントになる。とくに、5つの要点で示された①ビジョンの設定と共有、②体制の構築、③価値創出に向けたプロセスの重視、④適切な人選と情報共有のマネジメント、⑤パブリックマインドの醸成は、公共FMのプロジェクトにおいても検討するうえで、有用と思われ、功績賞に値する。
「Kond Style」を実践し発信する、FMへの取組み
株式会社 近藤商会
事務用品・事務機器を販売する地域密着型企業のFM活動の応募である。同社は1947年に設立され、函館本店、室蘭、苫小牧と3箇所の拠点をもつ。現在の営業は、①アスクル事業②DX事業③内装デザイン事業を中心にした新しい働き方を提案・支援する企業である。同社自身のFMについては、ワークプレイスは、2008年より継続してリノベーションに取り組んでおり、顧客参加型のセミナールーム、ABWによる各セッティングが用意されている。また、健康経営に取り組み、「健康経営優良法人ブライト500」の認定を受けている。認定ファシリティマネジャーも3名いるが、FM体制とPDCAを回す目標管理、数値による評価など、FMを活用した経営活動には至っていない。自社オフィスをショールームとして有効活用していること、DX化の推進は評価できる面だが、FM的な目標管理を望みたい。アスクル事業への転換の結果、不要となった家具など流通在庫の自社倉庫スペースを活用しようという試みであることは理解できるが、不活用の床も残されている。総じて、60名ほどの中小規模企業のFMへの努力を評価するが、ワークプレイスの改良中心で、目標管理など適切な経営活動の推進を期待したい。
築66年のビルで実現するサスティナブルなFMへの挑戦
鈴海産業 株式会社
株式会社 ビルmo
築66年のテナントビルのリノベーションと運営維持に関する応募である。ビルオーナーの鈴梅産業とアドバイザー的なビルmo社との共同応募になっている。リノベーション工事ではビルmo社がCMを担当したが、工事後に1テナントとして入居し、同社が2022年LEED O+MとWELL Health Safety Ratingの申請主体となっている。プロパティマネジメントの実務とリーシング(実務は東京R不動産)は、オープン・エー社が行っている。応募両社の協力関係は複雑だが、長期的なコミットメントの契約体制はない。リノベーション後ではテナント入居が100%と経営に貢献している。オーナー側の意向は、リノベーションは今後の建替えも視野にした限定的なもので、今後の市場変化を見越した「つなぎ的な」性格である。「築66年建物のグリーンビルディング化」は、認証審査をクリアできるように絞り込まれた改修投資により、認証取得できている。しかし、改善すべき不具合箇所も残されている。FMの推進体制は未整備で、FMの目標管理は今後の課題として残っている。施設ハードと保全業務は高いレベルとはいえないが、テナント同志のコミュニティづくりに対するビルmo社とオーナーの取組みというソフト面は評価でき、この建物の価値向上に貢献している。今後の推移を見守りたい。
複雑化する場のマネジメント
藏知 弘史 株式会社アイスクウェアド 代表取締役社長
2018年より政府が主導している働き方改革の中でも、3つの柱の1つである「多様な働き方の実現」は、コロナ禍を受けて一気に進展しました。リモートワークやハイブリッドワークといった働き方は、ワークライフバランスを向上できる取り組みとして、様々な企業で採用が進んでいます。
しかし、新たな問題も生まれています。勤務状況が把握しづらい、コミュニケーションがとりにくい、といった現場の問題もさることながら、事業活動の中でも重要なナレッジの蓄積やイノベーションを起こす土壌づくりのために、場に対して施していた様々な工夫や仕掛けが機能しなくなりつつあるのです。
働く場が分散し、働き方の多様化による問題は複雑化し、いわゆる「場のマネジメント」はどんどん難易度が増しています。
この古くて新しい問題である「場のマネジメント」に対して、企業がとるべき「場の生成とかじ取りのマネジメント」を考えたいと思います。
健康経済時代におけるワークプレイスの在り方
澤本 勇樹 株式会社アイスクウェアド 専務取締役 BLM事業部責任者
パンデミックの影響が収束していく中で、職員の健康や衛生への意識の高まりに対応すべく、企業による職場環境の再定義が進んでいます。
一方で、テレワークの普及による職員間のコミュニケーション不足をどのように補うのか、オフィスへ出社する頻度をどのレベルに設定すべきか、出社の動機付けをどのように醸成するのか、ワークライフバランスに配慮した施策とはどういうものか、この時代に合った職場やポリシーを作ることは出口のない迷路を歩くようにも感じます。
2023年第2四半期にEptura社が実施したWorkPlace Indexという調査結果の一部を解説しながら、グローバルで各企業がどのように現状を打開しようとしているかを考察します。
調査は北南米、ヨーロッパ、オーストラリアを対象として実施されたもので日本は含まれませんが、できる限り参考となる指標をご紹介していきます。
これからの働き方・オフィスに求められる役割
香山 幸子 株式会社イトーキ ワークスタイルデザインラボ 所長
コロナ禍を経て、働き方は大きく変わりました。
それに伴い、これからのオフィスに求められる役割も大きく変化をしています。
2023年に改修したイトーキの日本橋オフィス「XORK」の事例を交えて、これからの働き方・オフィスに求められる役割に関してご説明します。
イノベーション経営を支えるために 「アウトタスキング」から「アウトソーシング」へ
垣内 進太 イオンディライト株式会社 カスタマーサクセス本部長
労働人口が減少し続ける中、日本のFM企業が顧客のイノベーション経営を支えていくためには、「アウトタスキング」企業から「アウトソーシング」企業へと変化していく必要がある。
本講演では、アウトタスキングとアウトソーシングの違いに触れたうえで、日本のFMが伝統的にアウトタスキング主体である背景やアウトソーシング企業への変化が必要だと考える根拠を示していく。
加えて、日本のFM企業の1社である当社がアウトタスキングからアウトソーシング企業となるための取り組み事例について紹介する。顧客の成長への貢献度を高めるために導入拡大に取り組む統合型FM、通称IFMの概要、並びにその提供を支えるための様々な取り組みについて解説したい。
日本の不動産とそのトランスフォーメーション
板谷 敏正 プロパティデータバンク株式会社 代表取締役会長
日本には2500兆円の不動産資産がありその量は世界でも有数であるが、いずれも老朽化や量の過多などの課題もあるが、不動産は都市の競争戦略や地域の活性化の重要な切り札にもなっている。
これらのニーズを受け、都心においては不動産の所有形態や空間構成を大胆に改革した不動産戦略が進展している。
また地方では徹底したストック活用や従来の組織体制の枠を超えた公民連携も進展している。いずれもビジネスモデルや組織体制の変革も伴うものである。今回はこれらの変革を伴う不動産・FM戦略を不動産トランスフォーメーションと定義し、その実態を整理し解説する。またこれらのトランスフォーメーションを支援するDX事例などについても紹介する。
統合施設マネジメントシステムによる維持管理DXの手法
渡邉 舞 株式会社FMシステム システム営業部
施設管理業務での情報管理においては、テレワークの推進や業務効率化を目的としたペーパーレス化によって、紙媒体での保管からPDFでの保管やシステムを活用した保管への移行が加速化していますが、課題も多くあります。
例えば組織内の共有ファイルサーバーでの管理ではファイル名や管理方針が属人化しやすく、情報量が増えるほど煩雑になる傾向があり、紙媒体と同じように情報を取り出すことに時間がかかってしまう場面もあります。そのような課題を解決するため、近年はクラウド上のシステムを活用した情報管理手法が注目されています。建物や設備情報といった基本情報の管理から、工事や点検などの計画や対応履歴の管理など、業務の場面に沿った適切な情報管理の可能性についてご紹介します。
飛躍的な業務効率の向上 ~IWMSで変わるワークプレイスと不動産管理の未来~
Iwan van Eldijk Vice President Partnering & Alliances
統合ワークプレイス管理システム(IWMS)が、ワークプレイスとスマートビルディングのテクノロジーをどのように再構築しているかを探ります。
IWMSソリューションは、稼働状況の追跡やスペース最適化などの機能を提供し、快適性と効率性のバランスをサポートします。
企業は持続可能性に焦点を当て、IWMSシステムを導入することで資源の監視と削減が可能です。WELL認証の普及により、欧州企業はウェルビーイングの重要性が認識され、ワークプレイスとサービスの向上に注力しています。
また、スマートビルディング・テクノロジーの採用により、IoT技術とデジタルツインの概念が進化し、データの理解が深まっています。
本講演では、IWMSの機能を活用することで、日本企業における業務効率の向上、コスト削減、従業員中心の持続可能な職場の構築についてご紹介します。
クラウトシステムを活用した修繕工事プラットフォームサービスの紹介
久保田 渉 株式会社NTTファシリティーズ
カスタマーソリューション本部 営業・ソリューション企画部 ファシリティサービス統括部門 担当課長
建物や設備の修繕工事は、専門性の高い業務領域となっています。特に、多くの施設や店舗を有する企業にとっては、維持・管理にかかる業務への負担が大きくなっており、近年では働き方改革への対応やカーボンニュートラルの実現など、「建物のあり方」についても多様化しています。こうした中、日々不具合対応に追われる「従来の施設管理」から建物や設備等の価値を最大化させる「ファシリティマネジメント」への移行を順序立て提案しています。
この度は、NTTファシリティーズが提供する専用WEBシステム「CMナビ?」を活用し、企業が有する施設や保全にかかる情報のデータベース化と工事マネジメントサービスの事例および今後のFM戦略についてご紹介します。
施設運営現場のスマート化とDX
西片 一成 TMES株式会社 執行役員 営業本部 本部長
施設運営現場では、加速する人財不足や働き方改革の中で業務効率化を目的に、センシング技術やIoT機器の導入、DX化が進んでいます。弊社は、振動センサをはじめとするセンシング技術、省力化や異常検知が可能なIoTカメラ、各種クラウドサービス等様々なツールを取り入れて施設管理現場のスマート化とDXを推進する 「yomiØ(レス)」を提案しています。
yomiØ(レス)では、センシング技術やIoTカメラから集められた情報を弊社独自の情報管理システム「T-MET」に集積・蓄積します。その情報は、クラウド上で可視化することで異常の早期発見、予防保全へと活用します。また、機器台帳と保全履歴の紐付けによるメンテナンス計画、中長期保全計画作成にも活用できます。
弊社TMESは、yomiØ(レス)によるスマート化とDXで、FM本来の目的である経営に寄与いたします。
DX推進の取り組み
犬塚 弘章 日本メックス株式会社 担当課長
弊社が取り組んでいる維持管理業務の課題に対する取り組みについてご説明いたします。
「省人化」「技術の継承、人材育成」「業務内容の洗い出し」「安全」といった観点からご説明いたします。
施設管理者向けソリューション
上村 浩之 日本アイ・エス・ケイ株式会社 鋼製品事業部 営業部長
施設管理者が抱えている問題は多岐に渡ります。施設の維持管理業務では『コスト削減』、『人手不足』、『効率化、精度の向上』が課題として認識されてきました。法令順守の観点からも施設管理者は施設内での重要な保管物の管理体制も課題とされています。
課題の解決策として
・変化に対応し新しい付加価値を創りながら資産価値の向上を図る
・従来では実現できなかった新たな運用管理を行う
・見える化、有効性、作業の効率化、法令順守、業務改善、費用対効果などの取組
デジタルツイン実装に向けて:施設管理運営の新しい潮流
野口 努 株式会社ワークパス COO
中里 和佳 株式会社ワークパス シニアセールスマネージャー
遠藤 理奈 株式会社ワークパス シニアデザインマネージャー
本講演では、デジタルツイン実装の鍵となるポイントについて掘り下げます。
施設管理・運営フェーズにおけるデジタルツインのメリット、データソースの多様性、関係者利益のためのデータ共通化など設計・施工を超えた視野で考えていきます。さらに、実際のソリューション事例を紹介することで、より具体的なイメージを掴むことができます。
BIMだけでない幅広いデータソースの活用法や、デジタルツイン技術を効果的に利用する戦略についても触れます。デジタルツインを通じて業務効率化や施設運営の最適化を目指すプロフェッショナルに実践的な気づきを提供できれば幸いです。
ABWの実践が働く人に与える影響は?
嶺野 あゆみ 株式会社オカムラ ワークデザイン研究所
オフィス勤務とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが浸透し、ワーカーが主体的に場所を選択して働く「ABW(Activity Based Working)」を取り入れる企業が年々増加しています。
そんなABWを実践している人の状況や、ABWを実践することによって感じているメリットなどについて、複数の調査研究データから考察していきます。
変化する働き方と「シンカ」するオフィス~これからのオフィスの役割とは
多田 光 三菱地所株式会社 副主事
パンデミックを経て、オフィスは「毎日必ず出社する場所」から「自らの業務に合わせ、出社することを選ぶ場所」へと変化しています。ハイブリッドワークが一定の定着を見せ、ワークスタイルが多様化している昨今、単に旧来の働き方に戻すのではなく、ワークスタイルやオフィスの在り方自体もアップデートしていくことが求められています。
三菱地所自身も、オフィスという“場”を提供する立場として、オフィスに行くことの意義やその位置付け、リアルオフィスに備えるべき機能、出社している時間の価値を最大化するような仕掛けづくりを考え、試行錯誤しながら自社オフィスへと反映してきました。
2023年に実施した当社の共用スペース大規模リニューアルの事例を踏まえながら、未来を見据えた“シンカ”するオフィス作りの取り組みをご紹介します。
シミュレーションとxRによるファシリティの設計と運用の継続改善
城戸 大輝 鹿島建設株式会社 建築設計本部 環境・性能グループ
テレワークの普及や働き方の多様化に伴い、オフィスに求められる機能が変わりつつあります。その中で、働き方に応じた場の選択性が重要であり、ABW(Activity Based Working)やフリーアドレスなどの新しい働き方に適応したオフィス環境の実現が求められています。こうしたユーザーを起点としたオフィス設計にあたり、観察、計測によるデータ収集とモデリング、シミュレーションによる予測に基づいた設計、運用へのフィードバックを繰り返していくことが重要です。
さらに近年では、VR(Virtual Reality)やMR(Mixed Reality)、メタバース等の活用により、上流段階において仮想空間内で複数の設計案に対して人の印象や行動を計測、シミュレーションすることができ、わかりやすいビジュアルを通した適切な意思決定に基づく継続改善が可能になりつつあります。
本講演では、ユーザー起点のオフィス設計に着目して、これらのシミュレーション技術やVR技術の活用事例についてご紹介します。
オフィスの小さな課題を皆でカイゼン!
FMのPDCAを円滑に回す”オフィスカイゼン”とは
樋口 美由紀 コクヨ株式会社 ワークスタイルイノベーション部
社員にとって働きやすく生産性の高いオフィスづくりを行うためには、社員自身が自分事としてオフィスに関心を持ち、皆で楽しみながら、オフィス運用を継続して行っていくことが大切です。
コクヨでは10年以上前から、部門横断メンバーによるオフィスカイゼン委員会を立上げ、総務と協力しながらオフィスの快適な運用をめざして活動を行っています。
本講演では、コクヨで実施している日々のオフィスカイゼンについて、以下の内容についてご紹介させていただきたいと思います。
内容:オフィスカイゼンとはなにか/オフィスカイゼンの必要性とメリット(企業経営から見たメリット、総務や社員など現場から見たメリット)/オフィスカイゼン事例紹介(オフィス運用課題の分類/オフィスカイゼン実装事例)/オフィスカイゼン活動について(組織体制/活動内容/活動の課題と対策など)
ファシリティ多様化時代のオフィス環境設備による価値提供
大部 勇斗・金澤 龍宙 三機工業株式会社 ファシリティシステム事業部
昨今、オフィス回帰する企業が増えており、FM担当者に求められるものも変化してきております。
今回の大会テーマでもある「イノベーション経営」、イノベーションにはダイバーシティ(多様性)が必要であると言われております。オフィスファシリティにおける多様性では、利用者自らが活動に応じて働く場所と時間を選択する働き方「ABW」の考え方が広がりつつありますが、限られたスペースの中ですべてを実現するのは限界があります。
建築内装、什器・家具などは設計会社やメーカーなどのクリエイティビティにより日々大きく進歩しておりますが、オフィスを支える環境設備(空調設備、電気設備、衛生設備など)の多様性はまだまだ発展途上であると考えます。
今回はオフィス環境設備における多様性および今後目指す姿を、一部の事例を交えお話しさせていただきます。
イノベーション経営を支える建築空間創造事例のご紹介
嘉門 隆史 株式会社山下PMC チーフプロジェクトマネジャー
本当に使いやすく使われる空間を生み出し、施設の価値を高めることは、ファシリティマネジメントにおける重要な要素です。また、そのような空間は人を引き寄せ、偶発的なイノベーションを生み出すキッカケにも成り得ます。
本講演では、人を引き寄せ施設価値向上に繋がる空間作りの考え方や事例を紹介します。
国産木材の調達監理による地域に寄与する愛ある空間づくり
小林 健一 株式会社内田洋行 プロダクトデザイン部
谷知 大輔 パワープレイス株式会社 教育公共・ソーシャルデザイン部
昨今、脱炭素社会の実現やSDGs達成のために木材利用は非常に注目されています。一方、木材を利用すれば何でも環境配慮されているかのような、調達や利用が散見されます。私たちが利用する木材は一般的に40年から50年間育てられた上で、木材製品としてユーザーの手元に届きます。本講演では、長い時間の中でたくさんの人が関わり、人の想いの積み重なりによって生産された丸太を大切に地域で加工し、利用していく独自の愛ある木材調達方法であるタニチシステム?について説明します。タニチシステム?では木材の調達をツリー構造にするのではなく、みんなで仕事に取り組む形にし、事業者の規模に関わらず仕事を配分していくことで、それぞれの事業者が納得性のある報酬で仕事を実施できるようにしています。
また、こうした木材調達を支える設計の役割や愛ある空間づくりのポイントについても解説します。
カーボンニュートラルと人材活用を両立するオフィスリニューアル
丸山 玄 大成建設株式会社 FM推進部ファシリティマネジメント推進室 次長
2021年8月、国土交通省より「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」が公表され、2050年に目指すべき住宅・建築物の姿として、「ストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保」が示された。大成建設では、「省エネ」・「創エネ」・「脱炭素」・「ウェルネス」・「スマート化」・「安心」という6つの具体的な取り組みを通じて、既存建物をこれからの時代に相応しく、人と建物と地球に優しい建物にリニューアルすることを『グリーンリニューアル』として市場展開を図る。
本講演では、大成建設の横浜支店のリニューアルを事例に上げ、ZEB化と人材活用のウェルネス化の両立のコツと仕掛け方をご案内し、人を中心としたサスティナブル社会でのFMの役割を紐解いていく。
照明自動制御で更なる電気代削減!健康面への影響も解説!Vol.2
石本 研 株式会社ユニティ 代表取締役社長
近年の技術革新でLED照明の自動制御システムが導入し易くなりました。それを採用することで、ムダな電力をカットし更なる省エネが可能となります。弊社の事例では既設の蛍光灯を使用することに比べて78%の電力を削減、一般的なLED照明に比べて60%の削減ができました。昨今の電気代高騰に対する簡単な対策方法です。更に、導入するLED照明を「健康照明」にすることで、付加価値が生まれます。健康照明とは「サーカディアンリズム(生体リズム)」に合わせて、明るさと光の色味を変化・自動制御できる照明設備のことを指します。光と人間の身体には密接な関係があり、それに対応した最適な照明で生体リズムの乱れを抑えて発病リスクを低減させ、働く人々の健康を支えます。
近頃の機種は、操作性も簡単で個々の社員にて調整でき、利用目的に応じ変更することが可能となっています。目的別に照明を変えて利用者のモチベーションアップや生産性アップに貢献する「ウェルビーイングなオフィス」事例も紹介いたします。
ものづくりから考える省エネと2024年問題
原田 修 セイキ工業株式会社 常務取締役
原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービスなど幅広い分野で値上げの動きが広がっています。これらの中には電気代やガス代も含まれており省エネルギー化を考えている方も多いのではないでしょうか。2022年より経済産業省と環境省が主体となって、熱損失が大きい窓の断熱性能を高めることにより省エネルギー性能の確保やCO2排出量削減への貢献を目的とする「先進的窓リノベ事業」を進めており当社も注目しております。
また働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる物流・運送業界の2024年問題について、製造業である当社にもかなりの影響が出ると予測されます。
今回は皆さまも注目されている省エネと2024年問題についての当社の取り組みについてご説明させていただきます。
汎用的SaaSを活用したBIMFMプラットフォーム
墓田 京平 株式会社梓総合研究所 取締役
2020年初頭より世界ではAI、ブロックチェーン、Game Engine、SaaS、クラウド、
ノーコード技術など既成概念を覆すような新たな技術が続々と生まれており、世界の産業に革新をもたらし続けている。
AIR-Plateは国策として進められているBIMの維持管理フェーズ活用であるBIMFMに対して、これら最先端技術を活用する
独自の観点でアプローチをしている。
アプローチ手法としては、データベースSaaS(Notion)、モデルビューワー(Unreal Engine)、3Dスキャン(Matterport,NavVis)など、単独としては高い性能とコストパフォーマンスを誇るものの、FM業務での利用が難しい汎用的なグローバルソフトウェアを独自のノウハウで融合させている。データベースサービスにはノーコード技術やAI技術が搭載されており、ユーザーサイドでも自由にデータ構造をカスタマイズすることが可能で、蓄積したデータをAIで検索・構築することも可能である。施設の運営と経営をDXするソリューションとして2024年2月にサービスイン予定である。
BIMの在り方を問う 設計施工から維持管理まで
田邉 邦夫 株式会社東急コミュニテイー ビル事業本部第一事業部R&Dセンター 専任職副主査
小河原 直人 東急建設株式会社 建築事業本部技術統括部デジタルエンジニアリング部企画・推進グループ
2009年に日本に持ち込まれたデジタル設計技術「BIM(ビル・インフォメーション・モデリング)」は、設計施工においては「手戻り防止」「標準化」などの工数削減効果を以て、積極的に活用された。一方、維持管理・運用フェーズにおいてはBIMモデルが利活用されるケースは少なく、発注者メリットは未だ明らかにされていない。そこでゼネコンである「東急建設」と建物管理会社である「東急コミュニティー」のそれぞれの力を持ち寄り「BIMモデルの定義からシステム構築」そして、BIMモデルとデジタル情報の連携を以て「発注者や関係者、データの利用者も含めた活用手法」の検証を行った。
今回の講演は、設計施工から維持管理・運用フェーズを俯瞰的に見た「BIMの在り方」「構築例」「BIMの可能性」について各検証項目結果から報告する。
調査研究部会のご紹介:JFMAの調査研究部会って何ですか?
JFMA事務局
JFMAの調査研究部会全体の概要および活動について分かりやすく紹介します。各部会講演を視聴する前に、ぜひ18の活動の目的と活用についてご理解いただき、皆様に必要なテーマの活動をご視聴ください。そして、皆様もこのようなFMの活動にご参加いただけるような良い機会になればと思います。
まちづくりを支える公民連携
髙藤 眞澄 T-FMコラボレーションLab.
都市経営にとって近年の経済低迷とグローバル化、人口減少と少子高齢化、ファシリティ老朽化など時代の変化に対応できず、都市経営の新たな戦略が必要となっている。
各都市は地域固有の社会的環境的課題等に直面しつつも持続可能な都市への転換を進めようとしているが、自治体では財政・人材・技術など経営リソースが逼迫しており、課題解決に向けた公共サービスを自治体だけで提供することは難しく、民間企業等の協力を得る様々な「公民連携」を導入している。公民連携の成果は最終的には、公共サービスの品質とコストの評価に関連するとともに「まちづくり」につながっていくので、公民連携の状況を管理することは重要である。
FM戦略企画研究部会では、まちづくりの事例(公共施設等マネジメント、グリーンインフラに関連する公園整備、エリアマネジメント)における公民連携の状況を確認し、まちづくりへの効果を検討したので報告する。
デザインマネジメント、近年のオフィスの変化、PMをとりまく周辺環境の変化について
菅野 誠 三幸エステート株式会社
山下哲雄 合同会社物と事の作業室
FMプロジェクトマネジメント研究部会からは2つの研究発表とFMプロジェクトマネジメントを取り巻く環境について発表いたします。
デザインマネジメント分科会からは、VUCAにおける最新傾向と、最新のオフィスの見学報告、「優れたオフィスは何を主眼に置いてどのようなプロセスで具現化されているか」についてデザインマネジメントの視点からお話をいたします。
コロナ禍を経たオフィスの変化については、コロナ禍を経て大きく変化したオフィスの事例研究によりどこが変わったのか?どこが有効利用されているのか?などをテーマに考察いたします。FMプロジェクトマネジメントを取り巻く環境については、周辺環境も知っておくことも重要だと考えます。オフィスの賃料はどのくらい変化しているのか?工事費はどのように変化しているのか?についてお話いたします。
ファシリティマネジャーのための災害リスク対応事例
上倉 秀之 FM防災Lab
「Afterコロナ」を迎え、昨今のリスク対策の課題と対応事例についてお話します。
新型コロナウイルスやウクライナ紛争は、事業リスクは地震や風水害だけでは無いことを改めて示しました。しかし、企業のBCPの想定リスクは未だに個別災害が多く、具体的な対策が未実施の企業も見られます。一方、「耐震・免振・制振」構造で揺れを抑え発電設備により停電時でも一定の給電が可能な施設や様々な機能を有した防災備品・サービスが登場しています。
本講演では昨今のリスク対応の取組みとして、「被災しない施設の選択」「帰宅困難者対策と帰宅抑制解除の検討」「自衛消防隊の再編成と訓練」「防災備品・サービス」などファシリティマネジャーにとってすぐに役立つ事例についてご紹介いたします。
GX実現に向けた政策と石炭・原子力・バイオマスの新技術
横山 健児 株式会社NTTアーバンソリューションズ総合研究所
脱炭素化に向けてグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針が2023年2月に閣議決定され、5月にはGX推進法とGX脱炭素電源法が成立した。本講演では、まず電力市場の現状とGXを実現する政策動向を概観する。次に、脱炭素化に必要となる石炭火力、原子力、バイオマス、資源回収における新技術について解説する。石炭火力では石炭ガス化燃料電池複合発電、原子力では受動安全炉と小型モジュール炉、バイオマスでは木質と廃棄物発電、資源回収では熱分解炉を取り上げる。
ジェネレーションの価値観から紐解く企業不動産(CRE)マネジメントの新潮流
堀 雅木 第一生命保険株式会社
原 悠子 三菱自動車工業株式会社
昨今、企業が不動産を保有し、活用する意味と意義が変化してきています。それは、我々を取り巻く社会環境の変化に加え、経営者、FMやCREの担当者、ユーザーの思考や価値観の変化にも大きく起因しているのではないでしょうか。各ジェネレーションのリアルなコメントを元にCREマネジメントの新潮流を読み解いていきます。
生成AI×WEB5型未来DXが創出する
超進化系FMの世界
岡田 大士郎 株式会社HLD Lab
現代社会は、DXやGX、SXやBXなどに表象されるごとく、社会の意識が「地球環境」と「人間社会」の調和に向けたトランスフォーミング時代となってきています。そして、WEB3や生成AIなどイノベーティブなテクノロジー並びにシステムが身近になってきました。こうした状況において、ファシリティマネジメントの在り方も時代に適応してゆくことが求められてきます。本講演では「超進化系ファシリティマネジメントの世界」と題し、未来型FMの在り方と機能、及びファシリティマネジャーの役割についてお話をします。
ウェルビーイングを生み出すワークプレイスに関する調査と施策のアイデア
野間 操 株式会社清和ビジネス
この講演では、2019年から試行している調査手法について報告します。この調査の目的は、ウェルビーイングを生み出すワークプレイスの実現に向けたヒントを得ることです。今回の取り組みでは、個人のウェルビーイングの視点から、幸福度の変化要因を探り、その要因にアプローチできるファシリティ面の施策を抽出することを目指しました。また、ウェルビーイング向上の検討プロセスのプロトタイプとなることも期待しています。参加者の皆様には、実際の職場で導入可能な具体的な施策のアイデア、ウェルビーイング向上の検討プロセスの新たな視点を得ていただけることを願っています。また、研究部会のその他の研究テーマや活動内容についてもご紹介します。
【直言!座談会】
道路インフラマネジメントに民間ノウハウが活かせるだろうか?
水野 高志 八千代エンジニヤリング株式会社
増田 真一 日本自動車道株式会社
幸野 茂 株式会社白糸ハイランドウェイ
中川 均(ファシリテーター) 一般社団法人日本観光自動車道協会
当部会では、日本観光自動車道協会(JTRA)会員企業と見学会・交流会を継続的に実施している。同協会は道路運送法道路(民間所有の有料道路)として、環境省国立公園利用推進室に協力し国立・国定公園の観光資源開発ならびに日本アセットマネジメント協会と連携した道路アセットマネジメント研究をしている業界団体である。
今般、フォーラムの部会活動報告の場で、民間事業者のマネジメントノウハウを道路法道路のマネジメントに活かすことができるのか?というテーマで座談会を実施する。
部会アドバイザー水野氏から基調提言をいただき、JTRA会員2社からは具体の道路運営の立場からの直言を期待したい。
サステナブルキャンパス先進事例と今後のキャンパス施策の検討課題
興津 利継 株式会社FOR
大学は、我が国の成長を支えるために、教育・研究に成果を出しつつ経営を持続させるべき存在であるが、進学者数減少期を迎えて淘汰される大学も散見される厳しい時代になってきた。
全ての大学にとって、学生本位の学びを実現し、学生に選ばれる魅力を持ち続けつつ、経営体として持続可能な水準・内容に施設投資を制御すべきことは共通であるが、SDGs、カーボンニュートラルに積極的に取り組むことも大学が担うべき課題となっている。
本年度、当研究部会では、学生本位の学びの場の実現とSDGs、カーボンニュートラルの取組みを高次元で融合させている複数のサステナブルキャンパスの事例を視察してきた。
本フォーラムでは、それらの事例を紹介すると共に、経営の持続性、我が国のカーボンニュートラル実現の両面に目を向けて、今後のキャンパス施策として検討すべき課題についても言及する。
最後に、当研究部会で11月から実施している基礎講座のご紹介もさせて頂く。
タスクシフト先としての医療周辺業務の可能性
森 佐絵 清水建設株式会社
働き方改革のひとつの方策として医療職のタスクシフトが議論されていますが、2024年を迎えてもなお、医療周辺業務、委託業務へのタスクシフトの検討は進んでいないのが現実です。検討の際の課題や期待する機能などを考えるとともに、実際に搬送業務のロボット化や遠隔服薬指導など、小さな試みを確実に積み重ねることで成果をあげている事例を紹介します。多面的・包括的な業務改革の進め方について一緒に考えてください。
公会計との連携により見えてきた新たな公共FMの実践的展開
萩原 芳孝 株式会社久米設計
令和5年9月に当部会の下に公会計連携ワーキンググループ(WG)を発足しましたところ、自治体関係者やJFMA各部会からの横串連携を含め、20名を超える多彩(才)な方々からの参加表明を戴きました。これまでの3回に及ぶWGでの議論を踏まえ、既に見えてきたこと・判ってきたことがあります。本講演ではこの経緯を踏まえてFM実務の視点に立脚し、公会計の実践的なあり方や活用の仕方を探り、自治体で公共FMを実践されている方々の御苦労や御努力に対する解決の糸口の一助になることを目指しています。
具体的には、公会計の知見を活用して施設再編された自治体事例を題材として、そこでの再編手法の固有性の分析と普遍化、住民合意形成の過程での課題とその解決策等を抽出し、そこにFMの知見を加えることでどの様な展開が可能となるかを検証してみたいと思います。WGは今後も深化して参りますが、最初の社会的発信として、ご期待ください。
当事者の言葉
~復職24年 森山政与志の思い、仲間たちと語ったUDナイトトーク~
森山 政与志 生活環境・企画設計工房
塩川 完也 フリーランス
千葉 亨二 板橋区
黒須 美枝 アートセラピストアカデミー有限会社
児玉 達朗(ファシリテーター) 大熊町
< 輝ける未来は過去をも変える >
当研究部会では、2020年コロナ禍以降、「UDナイト・トーク」としてオンライン・セミナーを開催してきました。今回はその中でもこの企画の原点ともなった森山政与志さん(ユニバーサルデザイン研究部会アドバイザー・生活環境・企画設計工房:代表)の講演を軸に研究部会メンバーとのコラボレーションをお届けしたいと思います。
森山さんは、一級建築士で作り手ですが、49歳の時、左半身不随者となり、ユニバーサルデザインのユーザーとなりました。現在73歳の森山さんがその24年間の体験からユニバーサルデザインを振り返ります。
この講演から「ユニバーサルデザインにとって大切なものはなにか」について皆さまとともに考えてみたいと思います。
運営維持の視点で『ファシリティマネジャーを育てる』
きっかけづくり/ワークプレイス編・基本的な考え方
吉瀨 茂 株式会社FRS(フォーバル・リアルストレート)
働きやすいワークプレイスとは、運営維持の視点から基本的な考え方の『きっかけ』。ファシリティのあり方は様々、そしてファシリティマネジャーには幅広い対応が求められている。今、悩んでいる貴方へ取組の『きっかけ』を提供します。ファシリティマネジメントの原点(業務の取組方)から運営維持の理解を深める『きっかけ』に!取組や課題解決の『きっかけ』にして下さい。
日本ならではのFM品質を考える
野瀬 かおり ファシリティマネジメント総合研究所
2023年、当部会では日本ならではのFMについて考えた。
これまで、FMはアメリカを始め海外に学ぶことが多かったが、独特な文化や生活習慣をもつ日本に適したFM品質があるのではないかという思いが原点である。
ファシリティは人が使うモノであることから、人の生理や心理に着目すべきという視点に立ち、専門家のレクチャーを受け、関連書籍を読んで考察するなどした。そこから自然環境とどう向き合うかが今後のFMの課題として浮かび上がった。かつて日本の建物は、木材・土・草など自然にある材料、放っておくと自然に還るものを利用して建てられていた。しかし現在の建物は、ガラス・金属・コンクリートを始め、自然から離れた素材が多用されている。
合宿で訪問し体験した白山神社や聴竹居などを事例に、森林浴の有用性、木材利用の必要性、日本ならではの気候にどう適応するか、日本人の生活スタイルにどう対応していくかなど、日本ならではのFM品質について考える。
インパクト加重会計(IWA)に基づいたFM施策の財務評価に向けた考察
大山 信一 三井住友建設株式会社
これまでFM財務評価では、FM施策実施に伴う企業財務への影響を評価してきたが、財務諸表に反映されない社会的インパクト(短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカム)は評価していない。一方、近年関心が高まっているインパクト加重会計(IWA)を使えば、FM施策による社会的インパクトをFM財務評価に反映させることができる可能性がある。そこでFM財務評価手法研究部会では、IWAを使ってFM施策による社会的インパクトを財務評価する方法を検討中である。本講ではその概要を紹介する。
パネルディスカッション
個人と組織のパフォーマンスを高めるワークプレイスづくりとは
齋藤 敦子(モデレーター) コクヨ株式会社
野間 操 株式会社清和ビジネス
石崎 真弓 株式会社ザイマックス不動産総合研究所
坪本 裕之 東京都立大学
多くの経営層が人材獲得のために場所や時間を限定しない働き方に関心をもち、アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)を導入する企業が増えている。他方、コロナ禍で分散して働いていても生産性が低下しなかった企業もあれば、コミュニケーションのストレスが大きかった企業もあった。企業による違いも大きく、現在はリアルとリモートを使い分けるハイブリッドワークを試行的に導入する企業も多い。まず、コロナ以降の働き方の課題を振り返りワークプレイスのトレンドをまとめる。次に、これからのワークプレイスについて当部会で開発したSOFモデルの3つの視点、働き方・組織経営・ファシリティにもふれながら、部会員によるパネルディスカッションを行う。知的生産性はさまざまな要素が関係しており、ファシリティマネジャーとしてワークプレイスをどのように構築・運営していくのか、多様な分野で活動している部会員の公開議論から展望していきたい。
3Dスキャナーと点群データ活用
天神 良久 東洋大学
吉岡 康浩 株式会社構造計画研究所
3Dスキャナーを利用して、簡易に建物内外の点群データを取得できる技術・製品のサービスが始まっています。既存の建物内の設備機器、パイプ配管等のレイアウトを現場で3Dスキャナーにより点群データで取得して、維持管理ステージでの機器の改修、新機種の入れ替え等の計画時に点群データの活用が可能です。
BIMによるファシリティのデジタル情報とFMでの活用
猪里 孝司 大成建設株式会社
松岡 辰郎 株式会社NTTファシリティーズ
FMの戦略・運営・評価・改善には、ファシリティのデジタル情報が不可欠です。FMに必要な、正確で適切なファシリティのデジタル情報を獲得するために、ファシリティマネジャーの皆さんは日々苦労されていると思います。
一方、BIMはファシリティのデジタル情報の宝庫です。BIMを活用することで、正確で適切なファシリティのデジタル情報を獲得することが出来ます。国土交通省の建築BIM推進会議の活動等で、ファシリティの設計や施工でのBIM活用が進んでいます。BIMとの連携が可能なFMシステムも普及してきました。ファシリティマネジャーの皆さんに、BIMを活用しFMの効率化・高度化を進めていただきたいと考えています。
本講演では、FMシステムやBIMとの連携方法や最近のFMのニーズ、トレンドからデジタル情報がもたらす効果についてお話します。新たな可能性やまだ見ぬ蓋然性を発見する機会にしていただきたいと思っています。