働き方と働く場における知識創造や知的生産性向上に関する研究とマネジメントツールの開発 |
部会長:齋藤 敦子 コクヨ株式会社 主幹研究員 日本ファシリティマネジメント協会 特別研究員 |
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ワークプレイス、知的生産性、知識創造、ABW、マネジメントツール |
サマリー | AI技術の進化により、人・組織の知的生産性が今後大きく変わっていくことが予想されています。すでに教育機関において、AI時代の知識創造や何を学ぶのかが議論されていますが、企業経営においても、これらテクノロジーの進化はますます重要なテーマとなっていきます。働き方改革、ハイブリッドワーク、ABWなど、社会の変化や技術の進化と共に、ワークスタイルとワークプレイスは変化してきましたが、コロナが落ち着いてきた今、ワークプレイスと知的生産性について、改めて議論を進めています。
また、分科会では、ワークプレイスを評価・改善するためのSOFモデルを開発し、そのアウトプットをガイドブックにまとめています。今後も変わり続ける働き方に向けて、ワークプレイスの企画・構築、運用、評価・改善、という一連の流れをマネジメントできることを目指しています。 「知的生産性」という難しい経営テーマに対して、JFMAの多様性を活かしたディスカッションなどから、さまざまな視点や情報に触れることができる部会です。 |
活動内容 | 当部会は、建築設計、家具メーカー、FM会社、設備設計、IT系、不動産開発、インハウスのファシリティマネジャー、自治体職員、大学教員など、多様なメンバーが参加し、これからの時代のワークプレイスにおける知的生産性をテーマにしています。全体会では見学会や意見交換、横断的なディスカッションを行い、分科会ではSOFモデルの開発と社会実装を行っています。(SOFモデルは、知的生産性に欠かせない要素である、働き方=S、組織=O、ファシリティ=Fの3つから成る、ワークプレイスの評価ツール)
※定例会開催日程(原則) 平日18:00〜20:00、年5回 |
成 果 | SOFモデルを用いたベンチマーク調査を継続的に実施し、研究成果として、日本オフィス学会や建築学会、日本産業衛生学会などで発表。また、公式ガイドブック ファシリティマネジメントにもSOFモデルを掲載しています。その他、寄稿や講演なども行います。
※研究成果の詳細を閲覧することが可能です: 「研究成果 他」の項目へ |
メンバー | 部会長:齋藤 敦子(コクヨ)
部会員:網倉 麻古(テクノ菱和) 石崎 真弓(ザイマックス不動産総合研究所) 岡田 孝介(梓設計) 岡田 大士郎(HLD Lab) 菅野 文恵・比嘉 文彦(ゼロイン) 菅原 大助(仙台市) 田中 厚三(清水建設) 坪本 裕之(東京都立大学) 富田 衞(三井住友建設) 成瀬 功(三菱地所設計) 野間 操(清和ビジネス) 萩坂 真紀(オカムラ) 箱田 琢磨(パーソルファシリティマネジメント) 原 悠子(個人) 森本 卓雄(アルファ・アソシエイツ) 山田 均(パワープレイス) 渡部 哲也(プラス) 事務局:竪山 和人(JFMA) |
働く場所の多様化が進み、企業が所有するオフィスだけではなく、コワーキングスペースや移動中の駅や乗り物などもワークスペースとして広く認知されるようになった。テレワークは80年代から一部の企業で取り入れられてきたが、現在は働き方や企業経営、イノベーションの観点からも働く場所の柔軟性が求められている。昨今では、リアルとオンラインを融合するハイブリッドワークに取り組む企業も増えている。
一方、このような自由度が高い働き方について、ワーカーの自律やマネジメントの難しさ、組織の知識創造の課題も挙げられる。当部会では、時代と共に変化する働き方をとらえながら、働く人と組織の視点で働きやすさとその結果として生み出される知的生産性について研究を行う。
今年度はコロナ禍を経て、これからのオフィス・ワークプレイスの構築・運用のヒントをまとめていきたい。
当部会で開発したSOFモデルのベンチマークデータも活用しながら、ワークプレイスの企画・構築、運用、評価・改善、という一連の流れをマネジメントできるように、実際のツール提供も含めて、研究を進めていく。
企業経営において、テクノロジーの活用やハイブリッドワークの浸透など、働き方と組織マネジメントの方法などに変化の兆しがみえる。2023年度は実際の企業がどのように変化しているか、多様なメンバーによるディスカッションを行うとともに、分科会ではSOFモデルのガイドブック作成に向けた作業を進めた。コロナが5類に移行したことから、リアルでのワークショップを複数回にわたり開催し、多様な知見・経験をもつメンバーの力を借りてガイドブックの第一版としてまとめた。また、SOFを用いたベンチマーク調査を継続して実施しているが、今年度は、個人とチームの知的生産性に関わる要素をデータからモデルを構築。個人はウェルネス、チームは心理的安全性が知的生産性に関わるモデルが示唆された。これらの結果はオフィス学会等でも発表し、今後も事例研究など実践知の収集から、モデル構築のようなアカデミックなアウトプットも出していく。