品質評価手法研究部会 (SCM11)  【固有技術研究】


これから先の世における
「ファシリティ品質評価軸」を考える
部会長
部会長:野瀬 かおり
ファシリティマネジメント
総合研究所
●keywords●
品質評価、ワークプレイス、オフィスビル、トイレ、社会の変化、社会心理、地球環境
 
サマリー 当部会では、ファシリティの品質とは何かについて探求し、品質を評価するための項目を検討してきた。現在は、安全・安心、快適性・機能性、耐用性・保全性、環境保全性、社会性・品格性、多様性、心理配慮性という7つの評価軸で評価項目を整理している。
昨年は調査研究委員会主導で、SDGsレポートを作成した。原稿作成に当たり、当部会では、計画していたSTEP2,STEP3を返上してサスティナブルなファシリティについて議論を重ねた。今年度は、時代の潮流としてFMの国際規格や社会心理学について専門家から学び、昨年STEP1で集めた事例を含めて、これからの社会に必要となる評価軸を検討する。
活動内容  JFMA発足当初より、品質、供給、財務というFMの3つの評価のひとつである品質評価について検討を続けている。対象は主にワークプレイスである。  
部会発足当初はオフィスビルを対象としていた。しかし情報通信技術の発達や働き方の変化によってオフィス以外にも働く場所が広がり、対象をワークプレイスと捉えるようになった。さらに自治体庁舎についてもオフィスと捉えることができるため、自治体職員が部会員になったことをきっかけに、想定するワークプレイスの幅を拡げた。  
また、具体的なファシリティを例にして評価手法を作成するにあたり、どういったファシリティにも必ず必要とされるトイレをとりあげた。このことにより、部会員全員が、図らずもLGBTQといった社会的課題に向き合うこととなり、ユニバーサルデザインについても、さらに理解を深めることとなった。  
2023年度は、ファシリティを人間中心に捉え、心理や健康という側面という視点から各分野の専門家の話を集めている。  
このように、7つの評価軸に軸足をおきながら、時代のニーズを捉えて、ファシリティの品質はどうあるべきかについて、部会員ひとりひとりが考える活動を続けている。  
また、東京やその近辺の市町村以外に、仙台、福井、大阪、香港など部会員の所在地が離れているため、コロナ禍以前からオンラインを利用して会議を行っている。  
本部会では、発言しやすい環境作りに努めている。本会議終了後には1時間程度、会議を離れた自由な発言時間を設けている。さらに、年に一度、一泊二日でファシリティの見学会を実施している。コロナ禍で移動が制限された年には、テーマを決めて全員が発表する機会を作るなどした。

※定例会開催日程(原則) 第2土曜日14:00〜17:00、月1回
成 果 部会独自に開発した7つの評価軸をもとに、一般企業や自治体庁舎のオフィスビルの評価項目を検討し小冊子を作成。さらに環境配慮として木材利用の事例や、品質から考える防災について報告してきた。2017年から2019年は、社員の心身の健康を支えるファシリティとしてトイレを題材に、オフィスビルのトイレに特化した評価手法の開発を行った。
2020年4月にはCOVID-19対策としてJFMAが出したメッセージ『コロナに勝つ!』の中で、部会員所属の各企業の取り組みを発表した。

※研究成果の詳細を閲覧することが可能です: 「研究成果 他」の項目へ
メンバー 部会長:野瀬 かおり(ファシリティマネジメント総合研究所)
副部会長:塩川 完也(フリーランス)
部会員:一澤 治(サッポロビール) 上田 雅則(朝日ビルディング) 
    神村 賢一(市原市) 城内 将人(農林中央金庫) 児玉 達朗(福島県大熊町) 
    小永井 耕一(東京都環境公社) 菅野 文恵(ゼロイン) 杉山 泰教(ウシオ電機) 
    鈴木 彰(ヤマトオートワークス) 高須 小百合(東電設計) 高橋 淳(東北電力) 
    中村 伸一(大和ハウス工業) 福田 雄亮(森ビル) 渡邉 誠(フリーランス) 
    渡邉 良成(個人)
アドバイザー:恒川 和久(名古屋大学)
事務局:森田 優子(JFMA)

2024年度のテーマと活動内容 【活動計画】

メインテーマ

ひとを中心にしたファシリティの品質
―心理配慮性を深掘りする―

当部会では、ファシリティの品質とは何かについて探求し、品質を評価するための項目を検討してきた。現在は、安全・安心、快適性・機能性、耐用性・保全性、環境保全性、社会性・品格性、多様性、心理配慮性という7つの評価軸で評価項目を整理している。
昨年はFMの国際規格や社会心理学について専門家から学び、オフィスへの木材利用が働く人の心理に与える影響について検討した。さらに聴竹居に具現化されている日本の気候風土や日本人の気質に即したファシリティに触れた。
本年は、7つの評価軸の中で、心理配慮性の重要性に焦点を当てる。

活動計画

  1. 心理配慮性を深掘りする。
    (1)具体的なファシリティを選定し、心理配慮性を考える
     −災害時の避難所が候補にあがっている
    (2)伊藤邦夫先生の伊藤レポートを学ぶ
  2. 心理配慮性の評価項目の検討
    1から得られたことを盛り込み、評価項目を検討する
     

2023年度のテーマと活動内容 【活動報告】

メインテーマ

これから先の世における「ファシリティ品質評価軸」を考える

当部会では、ファシリティの品質とは何かについて探求し、品質を評価するための項目を検討してきた。現在は、安全・安心、快適性・機能性、耐用性・保全性、環境保全性、社会性・品格性、多様性、心理配慮性という7つの評価軸で評価項目を整理している。
2023年度は、とくに「日本らしいFM」を意識しながら、時代の潮流としてFMの国際規格や社会心理学について専門家から学び、また、秋季合宿で訪れた事例について考察した。
また、2024年元旦に発生した能登半島地震の被災地で災害ボランティアとして活動している部会員に状況を聞きとった。

活動実績

  1. ファシリティ品質に関する講演の聴講
    (1)JIS Q 41001ついて詳しい事務局の川村正夫氏からお話をうかがい、理解した。
    (2)社会心理学の専門家である宮中大介先生(株式会社ベターオプションズ代表取締役社長、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任助教(非常勤))
    のお話しを聴講した。
  2. 事例に触れる秋合宿の実施
    コロナ禍が下火になったことを踏まえ、福井・京都のファシリティを一泊二日の行程で視察した。なかでも京都で訪れた聴竹居は、日本ならではのファシリティであることを、7つの評価軸に照らして確認し、ファシリティマネジメントフォーラム2024で発表した。
  3. 能登半島地震被災地の状況聞き取り
    災害ボランティアとして活動している部会員から状況を聞き取り、避難所のファシリティがいかにあるべきかについて、意見を述べ合った。
     

研究成果 他

ファシリティマネジメントフォーラム ※ JJ:JFMA機関誌「JFMA JOURNAL」掲載

FM初心者向け秋の18講座・FM秋の夜学校(調査研究部会公開セミナー)

書籍・報告書 他