品質評価手法研究部会 (SCM11)  【固有技術研究】


求められるファシリティ品質は時代とともに変化する
部会長
部会長:中村 伸一
大和ハウス工業株式会社
認定ファシリティマネジャー
一級建築士
コンストラクションマネジャー(ACCMJ)
●keywords●
評価軸 / 利用者 / 心理 / 生理 / 木材 / 避難所
 
サマリー 時代の流れとともに、ファシリティに求められる品質は変化する。当部会では、ファシリティの品質を7つの評価軸に分け、それぞれの視点について、これまで何が重要視されてきたのか、また、今後はどのように品質を評価すべきかを、SDGs、自然災害への対応などの社会課題を踏まえて検討した。その結果、国際基準や他国企業のやり方をそのまま取り入れるのではなく、自社、自国の文化、ファシリティが存在している時代、気候風土、文化に合った方法を工夫することが重要であると考えるに至った。
活動内容 当部会は、JFMA 発足当初より、ファシリティマネジメント(以下FM)の目標管理である品質、供給、財務のうち、品質評価について継続的に検討を行っている。
当初はオフィスビルを対象としていたが、時代の変化に伴い働く場所が多様化したことから、現在では対象を主にワークプレイスと広く捉えるようになっている。さらに、自治体庁舎やトイレなどを対象とした評価項目の検討に加え、自然災害の多発を踏まえて、安全性・信頼性、持続可能性を意識した環境保全性の品質についても検討を進めている。このように、当部会は時代や社会のニーズに即した評価項目・手法の開発に取り組んでいる。

※定例会開催日程(原則) 第2土曜日14:00〜17:00、月1回
成 果 ・品質評価7つの評価軸の開発
・トイレの評価項目、評価手法の開発
・年に1 度の合宿(コロナ禍の際にはオンライン)を開催。2024 年の石巻・女川合宿の報告書をホームページに掲載

※研究成果の詳細を閲覧することが可能です: 「研究成果 他」の項目へ
メンバー 部会長:中村 伸一(大和ハウス工業)
副部会長:塩川 完也(フリーランス)
部会員:一澤 治(サッポロビール) 上田 雅則(朝日ビルディング) 
    神村 賢一(市原市) 城内 将人(農林中央金庫) 児玉 達朗(福島県大熊町) 
    小永井 耕一(東京都環境公社) 菅野 文恵(ゼロイン) 杉山 泰教(インベスト香港) 
    鈴木 彰(ヤマトオートワークス) 高須 小百合(山法師文庫) 高橋 淳(東北電力) 
    福田 雄亮(森ビル) 渡邉 良成(個人) 渡邉 誠(フリーランス) 
アドバイザー:恒川 和久(名古屋大学) 野瀬 かおり(ファシリティマネジメント総合研究所)
事務局:森田 優子(JFMA)

2025年度のテーマと活動内容 【活動計画】

メインテーマ

ひとを中心にしたファシリティの品質
―心理配慮性を深掘りする―

当部会では、ファシリティの品質とは何かについて探求し、品質を評価するための項目を検討してきた。現在は、安全性・信頼性、快適性・機能性、耐用性・保全性、環境保全性、社会性・品格性、多様性、心理配慮性という7つの評価軸で評価項目を整理している。
本年は、7つの評価軸の中で、安全性・信頼性の重要性に焦点を当て、大規模な自然災害発災の避難所について考える。まずは従業員帰宅困難への対応について、備蓄・体制の備え・防災訓練などを取り上げる。対象として、まず、自社所有の事務所ビルについて取り上げ、次に他社と共同で利用する賃借ビル、商業施設が入居する複合ビルなどに発展させる。
また、昨年11月に行った合宿で得た東日本大震災の教訓をレポートとしてまとめてPDFにし、部会のホームページで公開する。

活動計画

  1. 安全性・信頼性に焦点を当て、大規模自然災害発災時における避難所について考える。今年は、自社所有のオフィスビルにおける従業員の帰宅困難対応を検討する
    (1)防災訓練について(事例収集、課題の抽出、あるべき姿の検討)
    (2)備えておくこと(トイレまわり、就寝対応、停電対応など)
    (3)建屋や設備まわりに対する要求事項の整理
  2. 2024年合宿レポートの作成と公開
    合宿に参加した有志6名が分担して訪問先(日和山・津波伝承館・門脇小・あたみ荘・おしか・大川小・女川交番・シーバルピア、他)の概要・そこで得たことなどをまとめ、部会報告書としてPDFにして部会ホームページで公開する。
     

2024年度のテーマと活動内容 【活動報告】

メインテーマ

ひとを中心にしたファシリティの品質 ―心理配慮性を深掘りする―

活動実績

2024年計画提出後に起こった能登半島地震に関連し、品質評価の中の「安全性・信頼性」を中心に考えることとなった。

  1. 「心理配慮性」を深掘りする。
    (1)具体的なファシリティを選定し、心理配慮性を考える
    大規模災害時の避難所をテーマに、検討を進めた。
    @海外の避難所の事例を集め、日本との違いを比較した。
    A企業の帰宅困難者対応としての避難所(自社が入居するオフィス)の例として、サッポロビール本社の避難訓練について、訓練の事前計画や、実施後の感想をヒアリングした。
    B11月に石巻・女川に出向き、東日本大震災の被災遺構を視察して語り部の方々にお話しをうかがった。その中で、「防災訓練を行事にしてはならない」という教訓を得た。また、部会員各自が合宿で得た知見を報告書としてまとめた。
    (報告書は、2025年4月にJFMA公式ウェブサイトの部会ホームページに掲載した)
  2. 心理配慮性の評価項目の検討
    @海外の事例を見ることで、避難所に必要とされる項目をいくつか抽出した。
     

研究成果 他

ファシリティマネジメントフォーラム ※ JJ:JFMA機関誌「JFMA JOURNAL」掲載

FM初心者向け秋の18講座・FM秋の夜学校(調査研究部会公開セミナー)

書籍・報告書 他